「想像」の先に広がる、新たな創造の形

ヨルシカ『月に吠える』
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ヨルシカ 月に吠える
宮沢賢治の『風の又三郎』をモチーフにした“又三郎”。ヘミングウェイの同名小説に着想を得た“老人と海”。そして今回届けられた文学オマージュ作品の第3弾が、日本近代詩の父・萩原朔太郎の同名詩集を題材とした“月に吠える”だ。この詩集の序文には、詩の「リズム」に対するこだわりを綴る一節がある。まさに今回の楽曲のリズムセクションも、極限まで要素を絞ったうえで丁寧に磨き込まれており、グッと引き込まれる出来に仕上がっている。何より印象的なのは、何度か繰り返される《月に吠えるように歌えば》というフレーズだ。萩原朔太郎の作品世界の奥行きを想像し、音楽として鳴らし、そして「歌う」ことで、本来その作品に秘められていたメッセージを増幅させる。それはまさに、新しい創作の形であり、『盗作』『創作』の制作を通してクリエイティブの本質を追求してみせた今のヨルシカだからこそなし得る、極めて大胆な挑戦なのだと思う。往年の名作文学に新たな光を当てることで、その本質を真摯に問い続けるヨルシカは、いったい次にどのような新しい物語を紡ぎ出すのか。新作への期待が高まる。(松本侃士)

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