ずっとご無沙汰の新作も期待

ジム・オルーク『アイム・ハッピー・アンド・アイム・シンキング・アンド・ア・1・2・3・4〜デラックス・エディション』
2009年05月02日発売
ALBUM
ジム・オルーク アイム・ハッピー・アンド・アイム・シンキング・アンド・ア・1・2・3・4〜デラックス・エディション
言わずと知れたエクスペリメンタル・ポップ・マエストロ、ジム・オルーク。東京在住。ここ数年ではソニック・ユースへ一時メンバーとして参加した(担当パート「道楽」というのに膝が抜けた)かと思えば、カヒミ・カリィのアルバム『NUNKI』(06年)やツアーに参加、若松孝二監督の『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(08年)の音楽を担当したりと、神出鬼没な活動を行っている。そういえば、昨年発売されたヤマハの楽器「TENORI-ON」のサイトでは流暢な日本語で説明しながら嬉々として新しいおもちゃを操っていたりしていた。相変わらずである。

今回再発されるのは、彼が01年にオーストラリアの電子音響レーベル、ミゴから発表したアルバムのデラックス盤。ラップトップ・スタイルでのパフォーマンスから発展した楽曲は、電子音主体にジェントルなアコギやアコーディオンが寄り添うサウンド。切々とした、人肌の情感である。ディスク2に収録されたボーナス・トラックがノイズ寸前の「音の極北」であるのと比較すると、彼なりのポップ・ミュージックへの志向性も窺えるだろう。その凛とした音は、いまだ古びていない。(柴那典)
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