コロナ禍による2020年のツアー開催延期→中止を経て、昨年2月にZepp Hanedaにて一公演だけ実現したアコースティックワンマン「LiVE is Smile Always〜unlasting shadow〜」が映像作品化。ピアノ&歌というシンプルな音の装いによって、そのエモーショナルな高まりがよりいっそうリアルに感じられる“紅蓮華”。シンガロングなきフロアを躍動感あふれるパフォーマンスでクラップの渦へと巻き込んでみせた“BRAND NEW YOU”。《失うこと怯え続けて 悲しみに慣れるなよ/さぁ、行け 誰も待たずに行け》というラインを、混沌の時代へのエールとして快活に響かせた“ハウル”……。先の見えない状況の中、このステージでの
LiSAは、時代をリードするロックヒロインとしてよりもむしろ、困難に向き合う一個人として、ノーガードの心で「今」に向き合い、渾身の歌を通して音楽の意味を再定義しているかのようだ。《キミがくれた喜びが 輝きを増しながら/暗くひび割れた心まで 宝石箱に変えてしまうんだ》――アンコールで披露した“サプライズ”が、ひときわ深く強く胸を震わせる。(高橋智樹)
『ROCKIN'ON JAPAN』6月号より