思わず踊りたくなるリフとビート、さらには「ワン、ツー！」の声！ もう、イントロの時点で名が体を表している。コロナ禍にもかかわらず躍進を続けている名古屋の若き4ピースバンド、ねぐせ。が、満を持して「この時代に音楽を鳴らす理由」を表明するようなニューシングル“グッドな音楽を”。まさにひとクセある、ちょっと頼りなさげ？なバンド名とは裏腹に、まっすぐなバンドサウンドと頼もしいメッセージを放つキラーチューンに仕上がっている。歌いたいことがたくさんあると言わんばかりに歌詞を詰め込みながらも、一言一句ていねいに聴かせるりょたちを筆頭に、楽しさや勢いだけでやっているようには感じない演奏も興味深い。彼ら自身も含む《ボーイズ＆ガールズ》のための音楽ながら、幅広い世代に長く愛されていく可能性も秘めていると思う。サビで炸裂するハンドクラップは、この世界に入ってきてよ！と誘っているようにも聴こえるし、《最低だって思うのは 自分が最高だからだ》という肯定的なエンディングも気持ちいい。グッドミュージックのチェックリストを網羅したような一曲だ。（高橋美穂）

『ROCKIN'ON JAPAN』9月号より