SUPER BEAVERにとってのライブとは、一人ひとりの目の前の「あなた」との切実なコミュニケーションの場である。それ故に、今回届けられた初のツアードキュメンタリーは、メンバー4人に加え、各会場の観客を主役に据えた非常に彼ららしい映像作品となっている。全国20ヶ所21公演、その一つひとつが唯一無二の場であることを、メンバーとスタッフは痛いほど理解している。今作が映し出しているように、だからこそ彼らは、常に観客を主語にして語りながらライブのブラッシュアップを重ねていて、また今作は、たくさんの観客の豊かな表情や言葉を大きくフィーチャーしている。マスクの下で眩しい笑顔を輝かせる人、溢れ出しそうな涙を必死に堪える人、中には、終演後にコメントを求められて将来の夢を語る人もいた。そうした一つひとつのかけがえのない笑顔が、涙が、そして夢が、4人がステージに立つ意義そのものなのだと思う。ライブを重ねていく中では、嬉しいことも悔しいこともある。それでも4人は、これからも、笑いながら、泣きながら、私たちリスナーと共に走り続けていくのだろう。（松本侃士）

『ROCKIN'ON JAPAN』11月号より