人を馬鹿にする者は馬鹿を見る

WurtS『MOONRAKER』
発売中
EP
WurtS MOONRAKER
『MOONRAKER』といえば映画『007/ムーンレイカー』が思い浮かぶ。さらに、密輸業者を馬鹿にした役人が痛い目を見る、といった伝承もある。宇宙開発、戦争、傲慢な権力者――誰が本当の馬鹿なのか。何が仮想で何が現実なのか。人間を幸せにするはずの技術革新が行き着く先は自然破壊なのか。WurtSは過去のカルチャーを愛しながら、あらゆることがひっくり返りそうなほどにぐらついている「今この現実」を鋭く描く。ポストモダニズムに満ちた時代に楽観主義のムードを求めず、改めて愛を訴えかける表現は、たとえばThe 1975など世界中のアーティストに共通するもの。これまでも得意としてきたギターが鳴り上がるオルタナティブロックやキックの重低音が異常に気持ちいいエレクトロポップに加えて、ドラムロールで始まりファンファーレが鳴ったかと思えばEDMのドロップからラップに入る“SWAM”や、久保田真悟(Jazzin'park)をアレンジャーに迎えたR&B、ファンク、トラップの上を滑らかに流れていく“MOONRAKER”などの新境地でも、独りで浸かって高揚できる音像を作り上げている。(矢島由佳子)

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