なきごと初のフルアルバムは、なんと2枚組・全22曲。今年配信リリースされた“Summer麺”“自転車”、そしてNHK『みんなのうた』に起用された“ぷかぷか”を含む最新曲を集めたディスク1と、過去曲やライブでは演奏している未音源化曲をコンパイルしたディスク2。結成4年、これまで作品ごとに音楽的にも歌詞の視野の面でも自分たちの世界を押し広げてきたふたりだが、こうして振り返るとその歩みの軌跡がはっきりと見える。水上えみりの歌う言葉に感じる孤独の匂いは変わらないが、その孤独を受け止めて前に進んでいく意思が宿るようになった気がするし、岡田安未のギターはその歌とぶつかるでもよりそうでもない、独特の距離感のようなものを手に入れた感じがする。そうした変化を象徴するのが、ディスク1の最後に収められている“あいかわらず”。ディスク2の最初の曲となっている“癖”の続編的な内容になっているのだが、この2曲を聴き比べると彼女たちが獲得した「強さ」を感じることができると思う。一周回ってシンプルに感じる新曲たちは、その「強さ」の表れだ。(小川智宏)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2月号より)
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手に入れた強さ
なきごと『NAKIGOTO,』
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