楽曲単位で言えば“Family Song”から最新の“異世界混合大舞踏会（feat. おばけ）”までを収録した、ミュージックビデオ集の第2弾。星野源の音楽性が際限なく進化・発展して活躍の場を広げていったのと同時に、都度さまざまなクリエイターたちとタッグを組んだビデオの数々は視聴者の驚嘆と感動を呼び、幾つものアウォードを獲得することになった。前作同様に星野源のインタビューを交えて進行する本編が14曲、ニセ明の調理シーンなどとともに届けられる特典映像にもリリックビデオのほかテイク違い、バージョン違いなどが収められた大ボリュームなのだが、個人的に最も驚かされたのは“Pop Virus”のインタビューで星野源が語った、ある「後悔」の話題である。このうえなく大きな賞賛を浴びてなお前進する星野源を衝き動かしているもののひとつは間違いなくそんな「後悔」だし、弛まぬ試行錯誤の産物であるテイク違いやバージョン違いの味わいも膨らむというものだ。キャリアの変革期や、コロナ禍の苦難がありのままに反映された作風はまさに一時代の旅。20年、30年後にも振り返りたい記録である。（小池宏和）

（『ROCKIN'ON JAPAN』3月号より）

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