実力を伴う知名度の高さからすれば、ようやくと言ってもいいほど満を持したタイミングのデビューフルアルバム。YOASOBIのikuraとして活躍する前からシンガーソングライターとして活動を続け、近年は豪華コラボワークも連発してきた幾田りら。ソロアーティストとしても、SNSを通じてバズった“Answer”や恋愛リアリティ番組主題歌“スパークル”、サッカーW杯放送のテーマソング“JUMP”と話題性十分な楽曲群を擁し、死角なしのポップアルバムが完成している。フォーキーで率直な作曲を基調としながらも、奥行きのある楽曲展開が歌唱力を引き出す“レンズ”や、ブルージーな爆発力をもたらす直近のデジタルシングル曲“蒲公英”、洒脱で瑞々しいエレクトロポップとなった“Midnight Talk”やリアルな生活感を滲ませる“吉祥寺”といった新曲群など、ソングライターとしても挑戦の成果を残していることがわかる。情緒豊かで正確無比なピッチコントロールと、ボカロ世代ならではの斬新なブレス技術に裏づけられたその歌唱力は、いつか未体験領域の驚くべきポップソングを発明してくれるはずだ。(小池宏和)
(『ROCKIN'ON JAPAN』4月号より)
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完全無欠にして未だ底知れず
幾田りら『Sketch』
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