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世界陸上・アジア大会のTBS系テーマ曲として書き下ろされた新曲は、アスリートのみならず命あるものすべての営みを祝福するような賛歌である。肉体の不思議、生きることの意味を理屈ではなく感覚(音楽)で理解させてくれるような歌だ。その「生」が自分で選んだ道であろうがなかろうが、そこに明確な動機があろうがなかろうが、そこで「生きる」ことは必然なのだというようにこの音楽は聴き手を導く。疾走感溢れるR&Bサウンドは光あるほうへと扉を開けるゴスペル的な雰囲気を纏って、日々走り続ける肉体を包み込むように鼓舞する。楽器編成はいつになくシンプルで、武嶋聡のサックスソロが入る以外は、上モノはピアノのみ。その中で何より石若駿の有機的なドラムとUAと長岡亮介によるコーラスが“生命体”の躍動を思い切り表現している。非常に深い意味を持つ歌詞でありながら、その意味を考えさせるより先に、歌声を含めたサウンドが肉体を突き動かす。まさに音楽という“生命体”がここにある。(杉浦美恵)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年10月号より抜粋)
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