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まず1曲目の、TVアニメ『葬送のフリーレン』OPテーマ“勇者”から、その歌世界に強く引き込まれる。壮大ながら繊細であたたかい、まさに物語そのものをポップソングとして濃密に表現するための構造と、語り部としての役割を担う表現力豊かな歌声に改めて嘆息する。フリーレンが時空を超えて語りかけるような“勇者”の物語は“Interlude "Awakening"”を挟んでTVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のOPテーマ“祝福”へと見事なつながりを見せる。別々の主人公の物語でありながら、「生まれてきた意味」や「出会えた奇跡」を浮き彫りにするYOASOBIの音楽は、それぞれの曲を深い部分でひとつの大きな物語としてもつなげているのだと気づく。一連の直木賞作家コラボプロジェクト曲たちとTVアニメ『【推しの子】』OP主題歌 “アイドル”の間でも“Interlude "Worship"”がバランスのよい転換の役割を果たし、今回はまさに「一冊」の「短編小説集」として完成度が究極的に高い、素晴らしいEPとなった。(杉浦美恵)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年11月号より抜粋)
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