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「闇」と「光」を様々な角度で表現するEveの根幹にはいつだって「闇」がある。今作の《常闇の中 最果ての熱情》という言葉からも汲み取れるが、闇の中にあっても燃えさかる想いを決して見逃さずすくい上げ、それがやがて光となることを知っているからだ。「アルフォート」CMソングとして「旅立ちの祝祭」をイメージして書き下ろされた今作は紛れもなく光へと向かっていく楽曲であり、同時にEveの活動14周年記念日にリリースされたことから、彼の音楽人生の旅路が投影されていることが、《遊生夢死》《心海》《おとぎ》など作品名が随所にちりばめられていることからもわかる。そして中盤、《嵐》が去ったあとの凪のように優しく囁かれるラップ調のフレーズは、少ない言葉数でもグッと胸ぐらを掴むほどの力を持っていて、歌詞全体の構造としては今作には《僕》と《君》に対して《限界を超えろ》《勇気を今授けよう》と語りかける第三者がいて、それはきっとEveが聴き手のみならず自分自身にもかける《魔法》であり《祈り》なのだ。(橋本創)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年12月号より抜粋)
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