頭でっかちとスノビズムの勝利

ザ・ホラーズ『プライマリー・カラーズ』
2009年05月13日発売
ALBUM
ザ・ホラーズ プライマリー・カラーズ
正直、このバンドはファーストで終わるんじゃないかと疑ってかかっていた。2000年代初頭に乱立した幾多のガレージ・パンク・バンド達が、ガレージ・パンクの「ファスト、ロウ、ピュア」の三原則を一瞬で証明し、消滅していった様をつぶさに観てきただけに、そんなガレージ・パンクの粋を極めたスタイリッシュなフォルムが身上だったホラーズはむしろ、消滅に向かってひた走るところまで含めて彼らの「スタイル」なんじゃないかと思っていた。

しかし、それが幸運にも大きな勘違いであったことが瞬時に理解できる、素晴らしいセカンド・アルバムである。モノトーンで刹那なまでに直線的だったガレージ・サウンドから一転、極彩色のサイケデリック、ふくよかで奥行きを感じさせるニュー・ウェイブが持つ痺れるような快感原則が、本作の隅々まで行き渡っている。今思えば、かつてのホラーズのガレージ・パンクとは固定されたスタイルではなく、これから色を重ねていくことを前提とした、無垢なるキャンバスだったということだろう。音楽オタクにしてアート至上主義の彼らだけに、ガレージの初期衝動をロックン・ロールの本質ではなく、「通過点」としてクールに見極められたことも、幾多の失敗例と彼らを分ける大きな要因となったのかもしれない。本作のプロデュースを務めたのはジェフ・バーロウとクリス・カニンガム。本作の構造的ブレーンがバーロウであるのは当然として、非音楽畑出身のカニンガムが参加しているのがいかにもホラーズらしい。音楽をアートとして捉え、グルとなる人物を欲する姿勢。スノビズムもここまで徹底しているとえらい。(粉川しの)
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