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この先自分にはどんな景色や出会いが待っていて、どんな人生を歩んでいくんだろう。まだ何者でもない時代に誰しもが抱く漠然とした希望と背中合わせの焦燥を、オレンジ色の情景とともに書き留めた“夕暮れ”は、インディーズ期の楽曲を再録したもの。2012年の『わかってないのは僕だった。』に収録なので、本格ブレイク前夜といったタイミングであり、キャッチーなメロディとリフ、4つ打ちをメインに邁進していくビートなどサウンドの特色は今に通じる部分が多々ある。大幅なアレンジ変更もされていないので、正統にブラッシュアップしたバージョンと言っていいだろう。という試みをなぜ今したのか。それは当時と今の心情が重なるから。デビューから10年が経ち立場は変わった。あの頃は想像もつかなかった歓びも手にしただろうし、予想だにしなかった困難にも見舞われただろう。それでも今なお彼らは《ドキドキドキドキするような想いを抱いて》ステージに立っている。谷口鮪の瑞々しい歌声はそのことを教えてくれる。(風間大洋)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年1月号より抜粋)
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