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真っ直ぐに伸びる道を、ズンズンと前に進んでいくようなイメージ。しかし、その力強さの背景には、《誰が消えても星は廻る 明日が今を過去にしていく》――そう歌われるような残酷なほどにリアルな現実への認識がある。その認識のシビアさと、そのうえで生まれる、「それでも、生きる」ということへの希求こそが藤原基央であり、BUMP OF CHICKENなのだということ。アニメ『ダンジョン飯』のOP主題歌に起用されたこの“Sleep Walking Orchestra”は、改めて、BUMPというバンドの本質を突きつけるような1曲である。冒頭から響くアイリッシュトラッド風の旋律が初期の頃からBUMPに宿る物語性を強く呼び起こさせるが、シャープなグルーヴ感や、その中で変わっていく景色、立体的なサウンドは明らかに“クロノスタシス”や“SOUVENIR”以降さらに発展した「新しいBUMP」と言うべきものである。変わりゆく時代と世界、それでも変わらぬ「自分」という魂、その両方が、この1曲に表現されているように感じる。(天野史彬)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年2月号より抜粋)
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