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昨今の世の中は、やれタイパだ、やれコスパだなどと盛り上がり、過不足ないことがお好きなようである。しかしながら、必要最低限の物事だけしか吸収していないと、その人ならではの味なんてものは出てこない。一方でChevonは、どうだ。小説家を目指していたがゆえの文学的なリリックに、ボカロカルチャーに影響を受けた特異なメロディライン、舞台演劇で培った憑依型の表現力、そして自身が病みやすいからこそ芽生えた救える人を増やしたいという想い。Chevonの音楽には、紆余曲折を越えてきた谷絹茉優(Vo)の生き様がしっかりと根づいている。だからこそ、ドラマ『●●ちゃん』の世界観を落としこんだ“ノックブーツ”で開放的な性を歌っても、パイプオルガンが印象的な“薄明光線”であなたにとっての光でありたいと祈りを唱えても、一貫してChevonであり続ける。日本語を基調に綴られたリリックは、押韻や表記、句読点の位置にまで配慮されていて美しいので、ぜひ読み物としても味わってほしい。(坂井彩花)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年4月号より抜粋)
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