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今日ガールズバンドをテーマにしたアニメ作品や、キャラクターを演じる声優が実際にアニメ作品内に登場するアーティストとして活動を行うことは珍しくなくなった。その中でトゲナシトゲアリの特異性とは、演奏と歌詞の両面からキャラクターの生き様や心象風景にフォーカスした楽曲を発信し続けている点と言えるだろう。VOCALOID楽曲の文脈から受け継いだ言葉数の多いボーカルや技巧的なサウンド、アニソンが放つインパクトとキャッチーさ、ロックバンドが持ち合わせる感傷性と躍動感が合わさることで、そのどれにも当てはまらない規格外の音像が実現している。それは《誰かに染まれない 誰にもなれない》という強烈な自我を持つキャラクターたちを体現するようだ。曲げられない強い意志を持っているからこそ生まれる怒りや悲しみ、葛藤を、メンバーは歌と演奏でダイナミックかつ繊細に落とし込む。そんなほとばしる純度に、胸の奥にしまい込んだ本音が刺激されるのは必然なのだ。（沖さやこ）
（『ROCKIN'ON JAPAN』2024年10月号より抜粋）
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