巣立ちのとき

ザ・ユーズド『アートワーク』
2009年09月09日発売
ALBUM
ザ・ユーズド アートワーク
なかなか日本でライブが観られないのがもどかしいザ・ユーズドが、2年ぶり4作目となる新作をリリース。過去の全3作を手掛けたジョン・フェルドマンから巣立つようにして、彼らは今作で新たにマット・スクワイアをプロデューサーに迎え、自分達自身の道を求めて歩き出した。前作『ライズ・フォー・ライアーズ』ではハード・ロックからストリングスを使ったアレンジまで様々なことにチャレンジして驚かせてくれたが、今作ではパニック・アット・ザ・ディスコの1stを手掛けたマットと組みつつも派手な方向には行かず、むしろ音の感触は初期のころに回帰した印象だ。とは言えそれを何倍にもヘヴィにしてみせたのが今作の新しいところで、ヘヴィなイントロにバートのキャッチーなボーカルが入り込む瞬間や轟くドラムに覆いかぶさる激しいスクリームなど、これまで以上にドラマチックなスリルを与えてくれる。そしてもちろんアグレッシブな曲にもバラードにも切ないメロディがあふれていて、スクリーモというジャンルを破壊したかったと言うバートが自ら「グロス・ポップ」と呼ぶサウンドがここに確立されている。(網田有紀子)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする