突き抜けた!というのが一聴しての印象で、全体的に、びっくりするほど風通しがいいアルバムになっている。オリジナルとしては8枚目となる本作だが、一大変化を遂げているのだ。まず、ザ・ファイアリー・ファーナセスといえば思い浮かぶエキセントリックな構造の楽曲があまり見られない。それもそのはず今作は、初めてドラムとベース(しかも、セバドーetcにも参加してきたベテラン=ジェイソン・ロウエンシュタイン。マットとともに本作ではプロデュースも担当)を迎え入れてのスタンダードなバンド編成で作られている。安定感のあるリズム隊とともに繰り出されるのは、即興ジャム・セッションのような楽曲群。カラリと乾いたサザン・ロック的ナンバーもあるし、デルタ・ブルースを彷彿とさせる曲もあり、ジェイムス・テイラーか70sのエルトン・ジョンばりのメロディアスな楽曲もあるといった具合。かなり分かりやすく王道で、いってみれば「普通」なロック・サイドが光る。しかし、やはり不変なのはエレノアの自由奔放なボーカリゼイション。とっつきやすいのに、どこか突き放すような攻撃性も秘めたあの声が、明らかな華となっているのだ。(羽鳥麻美)