ア・チェンジ・イン・ミー!

リチャード・アシュクロフト&ジ・ユナイテッド・ネイションズ・オブ・サウンド『ジ・ユナイテッド・ネイションズ・オブ・サウンド』
2010年07月21日発売
ALBUM
リチャード・アシュクロフト&ジ・ユナイテッド・ネイションズ・オブ・サウンド ジ・ユナイテッド・ネイションズ・オブ・サウンド
このアルバム、今年の初頭に言われていたタイトルは『Redemption』(救済)というものだった。では何を救済するのかというと、いうまでもなくリチャード・アシュクロフト自身である。新バンドによるこのデビュー・アルバムは、まるで、分裂していた彼の音楽的パーソナリティをひとつに統合するような作品だ。彼がソロ・キャリアを通して培ってきたクリアなポップ志向と、ヴァーヴ再始動と『フォース』で取り戻した、ヘヴィでダークなサイケデリア。それを「アメリカ」や「ヒップホップ」といったフィルターを噛ませることで見事に両立させている。まさに「ユナイテッド・ネイションズ・オブ・サウンド」である。

「ビート・アルバム」などともいわれている本作だが、流麗なストリングス、際限なく広がっていくようなコード感、そしてリチャードのヴォーカルはどこまでもヴァーヴである。しかし、ヴァーヴと決定的に違うのは、このアルバムが素晴らしく開放的でブライトなヴァイブを湛えているところだ。自由を満喫しながら“ボーン・アゲイン”と歌ったりしてしまっているリチャード。やっぱり2008年のヴァーヴ復活劇は彼にとってフラストレーションだったのか、と思うと複雑な気分になるが、本作ラストの“レット・マイ・ソウル”の過剰ともいえるストリングスの響きを聴くと、彼の中でヴァーヴ的なるものにケリがついたのかなとも感じる。先日行われたマンチェスターでのバンドお披露目ライヴで、ヴァーヴのレパートリーから唯一演奏されたのは“ラッキー・マン”だったという。リチャード、前向きでやる気のようだ。(小川智宏)
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