言い換えると、宮本は同じ場所、同じ思いに何度も立ち返ることで、新たな言葉とメロディを紡ぎだすタイプの創作者なのかもしれない。ニューシングル“明日への記憶”を聴くたびに、そんな思いを強くする。装飾を排したメロディと、街を歩くなかで《あの頃の俺》と再び出会う主人公。繰り返し登場してきたモチーフだが、曲全体にみなぎる静かな闘志というべき感情は、かつて出会ったことのないものだ。
宮本は《全てがココにあり/それ以上でも以下でもないのさ》と歌った上で、《明日への記憶刻んでは 再び行くのさ!》と宣言する。同じ場所を巡るなかで、次の手掛かりをつかむ――まさにエレファントカシマシの音楽の特性を射抜いた名曲である。(神谷弘一)