自らに活を入れた「破格」の作品
EMI移籍後のシングル第一弾であり、冒頭に収められた“ガストロンジャー”は、とにかくインパクトのでかい曲だった。日本の現状から高度経済成長、黒船などをふり返り、宮本浩次が思うところをガーッと喋り倒す。ラップみたいに韻を踏んで形を整えたりしない。破れかぶれの言葉の洪水。だから、「おー、おー、おお」と意味のない声が、メロディになるところがグッとくる。意味のある言葉では語りつくせない感情が、歌に変わる感動がある。
同曲もそうだが『good morning』は、前作以上に打ち込みを多用している。宮本がひとりでかなりの部分を仕上げており、彼のユニットと化してもいる。また、ギターの音色、合間に聞こえる電子音など、意図的にノイジーにされている。曲もアレンジも従来の枠組みを破り、エレファントカシマシの名前でやれることを拡張した意欲作だ。この試行錯誤がベテランになりつつあった彼らを再活性化したのだし、あとに4人組バンドとしての音作りに回帰する際にも、好影響を残す。(遠藤利明)
収録曲:
1.ガストロンジャー
2.眠れない夜
3.ゴッドファーザー
4.goodmorning
5.武蔵野
6.精神暗黒街
7.情熱の揺れるまなざし
8.Iamhappy
9.生存者は今日も笑う
10.somanypeople
11.LadiesandGentlemen
12.コールアンドレスポンス
※『ROCKIN'ON JAPAN』2016年1月号より転載
過去のレビューはエレファントカシマシのアーティストページをご確認下さい。
http://ro69.jp/artist/2218
次の更新は2017年3月14日(火)19:00です。(毎日7:00、19:00公開予定)