【全アルバムレビュー:エレファントカシマシ】10th『愛と夢』

【全アルバムレビュー:エレファントカシマシ】10th『愛と夢』 - 『愛と夢』1998年12月9日発売『愛と夢』1998年12月9日発売

ボーカルが際立つ打ち込み導入作

節目となる10作目は、ポニーキャニオン時代のラストとなるアルバム。全編打ち込みで制作され、当時はその是非をめぐり大きな話題となった。あえて無機質なリズムをバックに、メランコリックなメロディと宮本のボーカルが際立つプロダクション。佐久間正英プロデュースとマイケル・ツィマリングのミキシングの妙もあり、1曲目“good-bye-mama”の出だしのギター音、この一音だけで深い叙情性を感じさせてくれる。そして“愛の夢をくれ”の《誰か俺のこと救ってくれるというのか?》という歌詞や、シングル曲“ヒトコイシクテ、アイヲモトメテ“というタイトルにも、この時期の宮本が抱えていた孤独がストレートに表れているように思う。この内省的なナイーヴさもまたエレカシの魅力であり、マイナーコードの美しさが耳に残る重要な作品のひとつである。この後、『good morning』そして『ライフ』と、どこか宮本のソロ作といった趣を感じさせるアルバムが続くが、改めて宮本が優れたソングライターであることを再確認する。(杉浦美恵)

収録曲:
1.good-bye-mama
2.愛の夢をくれ
3.君がここにいる
4.夢のかけら
5.ヒトコイシクテ、アイヲモトメテ
6.真夏の星空は少しブルー
7.寝るだけさ
8.ココロのままに
9.Tonight
10.はじまりは今
11.おまえとふたりきり

※『ROCKIN'ON JAPAN』2016年1月号より転載

過去のレビューはエレファントカシマシのアーティストページをご確認下さい。
http://ro69.jp/artist/2218

次の更新は2017年3月14日(火)7:00です。(毎日7:00、19:00公開予定)
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