リア充とはこういうこと

ワイルド・ビースツ『スマザー』
2011年05月25日発売
ALBUM
ワイルド・ビースツ スマザー
例えば、日用品の役割を超えて芸術品としての佇まいを有した、美しい銀食器を見るような、そんな感慨を覚えてしまう。最高傑作と言っていいだろう。巻頭特集のディスク・ガイドにも選出したかった前作『トゥー・ダンサーズ』が、マーキュリー・プライズのノミネートをはじめ、欧米で大絶賛されたワイルド・ビースツ。前作から約1年半というスパンで、更にバンドのキャリアを更新する3作目をリリースしてきた。

バロック音楽をも彷彿とさせるクラシカルなアレンジと、Vo=ヘイデン・ソープのファルセットによって綴られるのは、全10曲すべて、愛について。昨今のインディ・シーンは、ネットによって大きく変化を迫られた音楽業界の動きとシンクロする形で台頭してきたが、イングランド北部、湖水地方出身という出自ゆえだろうか、そんな大きなトレンドとも無縁の場所で、自分たちの音楽性を純粋培養させ、ただ一点のリアルのためにそのサウンドは組み上げられる。「存在しちゃマズイようなタイプのバンドになりたいんだ」とバンドは発言しているが、前作よりも更に流麗になったこの美しさは、危険なほどの力を持っている。(古川琢也)
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