祝・生還!

マディーナ・レイク『ワールド・ウォー・III』
2011年09月14日発売
ALBUM
マディーナ・レイク ワールド・ウォー・III
ベーシストのマシューが暴力事件に巻き込まれ、死の淵を彷徨う悪夢の事態から奇跡のカムバックを果たして完成させた、文字通りの復活アルバム。バンド名にもなっている架空の町を舞台にしたコンセプトの第3部にして完結編で、さらに彼ら自身にとっては新たなスタートを示す意味合いもあり、真に劇的な内容の作品と言えるだろう。ここには、苦難の時期を支えてくれた周囲のサポートに対する感謝も含め、生への喜びが満ち満ちている。ちなみに2曲目は、手術の費用を捻出するためにチャリティ・ギグを行なってくれた同郷の先輩ビリー・コーガンとの共作ナンバーだ。そういう背景を持つだけに今作は、同様に厳しい状況にある人々を勇気づけられる十分な説得力を獲得していると思う。

アルバム・タイトルに関して、シンガーのネイサンは「どんな争いごとに関しても、単純な善と悪の二項対立で捉えてはいけない」というようなことを語っているが、こういう考え方のできるアメリカ人ミュージシャンが、その思想に則った音楽をポジティヴなエネルギーをもとに作り上げ、多くの人々に届けるのは、本当に意義深いことだ。(鈴木喜之)
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