隙を鳴らす

ZAZEN BOYS『ZAZEN BOYS 4』
2008年09月17日発売
ZAZEN BOYS ZAZEN BOYS 4 - ZAZEN BOYS 4ZAZEN BOYS 4
昔から邦楽と洋楽の差うんぬんという話はあるけれど、最近は様子が変わってきているように思う。最近の洋楽ミュージシャンは、(1)簡単なことをあっけらかんとやる。(2)音の中に隙を作る。(3)だから音自体の存在感が問われる。という意識がスタンダードになってきている。なので、その画期性が見えにくいのだけど、現在最前線を切り開いている音楽の背景には、こんな意識があると思う。もしかするとこれって最近のショートネタ・ブームにも当てはまるかもしれない。

ザゼンの新作は、完全にそんな世界基準の意識で作られた作品。鬼気迫る演奏は本作でも炸裂しているし、それはどれも一筋縄ではいかない。リズムとコードは相変わらず複雑怪奇な乱反射を起こしている。けれど、それはすごくシンプルに聴こえる。シンセとリズムマシーンを作曲のメインに据えたサウンドは洗練されたフォルムを持っている。けれど、そこには隙がある。アルバム全体、音の鳴りが素晴らしく、音自体がポップなので見えにくいけれど、大きな穴が口を開けている。そして、そこからはそっと孤独が染み出している。(古川琢也)
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