ミュージシャンまた女優としての顔があまりに多様なのでちょっと掴みどころのなさもあるジェニファー・ロペスだが、自身のトラックでも特にダンス・ナンバーに特化したというコンピ盤が本作で、個人的には一番好きなジェイローの魅力満載の企画になっている。基本的に、７月にアメリカで公開になった映画『ステップ・アップ』シリーズの最新作にぶつけた企画で、②の〝ゴーイン・イン〟がこの映画のサントラとなり、フロー・ライダーが共演する新録曲で、①も４月にリリースされたレッドワンとピットブルが絡んだエレクトロ・ビートのニュー・トラック〝ダンス・アゲイン〟。中盤軽目のナンバーを経て後半がやっぱり聴きどころで、いきなり〝ゲット・ライト〟がかっこよすぎる。〝アイム・リアル〟などセカンドからサードにかけてはマーダー・インクとの良トラックが多かったと再認識し、⑤や⑬ではパフィ・コムズと浮名を流したこともあったよなあと懐かしくもなってしまう。しかし、個人的にはブロンクス出身という素性が光り、コーラスのジェイローの歌詞がかっこよすぎる〝ジェニー・フロム・ザ・ブロック〟が最高峰になる。（高見展）