感じるままに遊ぼう

トクマルシューゴ『In Focus?』
2012年11月07日発売
ALBUM
トクマルシューゴ In Focus?
約2年半ぶりの新作。100種類以上の楽器(=本来の意味での「楽器」、音の出る全ての道具)を操り、間断なく繰り広げられるリズムと音階の苛烈なせめぎ合い。その多重構造的な音の中で浮かび上がる風景がとても色鮮やかだ。それは広大な自然の中で農耕と牧畜に生きる人々の営みか、はたまた場末の街の中で逞しく生きる商いの人々の活気か。イメージする風景は人それぞれだろうが、歌詞のある歌とインスト曲とを問わず、今作からは呼吸する人間の息吹、生命力を強く感じた。トクマルシューゴの音楽はひとりのミュージシャンが密室で黙々と創作する一見して独善的な音楽のようでありながら、あらゆるリスナーに向けて「一緒に遊ぼうよ」と無防備に肩を組むような一流のポップミュージックである。その訴求力は5枚目にしていっそう強く作用している。最高傑作だ。ちなみに今作の限定盤には本人が演奏した99種類の楽器フレーズを収録したCD付きで、これが音楽の解剖学みたいで面白い。楽器がその個性によって様々なイメージを喚起する道具であると改めて認識させる、トクマルシューゴらしい好企画。(秦理絵)
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