新世界の夜明けを猛々しく叫ぶ

ACIDMAN『新世界』
2012年12月19日発売
SINGLE
ACIDMAN 新世界
結成15年&デビュー10年の節目の年、いくつかのアニヴァーサリー企画を経て、次へと向かう第一歩を『アルケミスト』という壮大な楽曲で刻んだACIDMAN。続く、今年2枚目のシングルは、その名も『新世界』。堂々たる三文字が象徴するように、そこにあるのは繰り返される終わりと始まり、音楽の真の意味という、ACIDMANがこれまで何度も描いてきた世界そのものだ。《今日、世界は生まれかわる》という宣言のもと、孤独に身悶え、哀しみに打ちひしがれる矮小な人間が「新世界」の夜明けに身震いして叫ぶ。その瞬間の静かな衝動を強く激しく荒々しく音にした。3ピースバンドが発する最小限の音だからこそ生まれる刹那的な感動がこの曲にはある。いくつもの方法論と音楽的な実験を積み重ねるACIDMANがここに初期衝動のままの音で変わらぬバンドの世界観を貫いた意味は大きいと思う。カップリングには恒例のセルフカヴァー「second line」の新作を収録。“swayed”はよりドラマチックに、“Under the rain”の美しいメロディがより際立って蘇る。これもまたACIDMAN。(秦理絵)
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