京（Voice）の喉の不調による活動休止期間を経て、一般流通の新作音源としてはアルバム『DUM SPIRO SPERO』以来となるニュー・シングル。表題曲“輪郭”は、現在進行中の全国ツアーにおいて本稿執筆時点（11月中旬）ではまだ披露されていない。新章の幕開けを告げる、ドラマティックかつシンフォニックなバンド・サウンドとアレンジに彩られた一曲であり、魂のグラウンド・ゼロに立って残されたエモーションの形を掴み取ろうとする京の歌唱は、ファルセットを絡めた美しさと背筋に冷たいものが走るほどの切迫感に満ち満ちている。
　
カップリングの“霧と繭”は、デビュー作『MISSA』に収録された同名曲を再構築。歌詩含めほとんど別物と言える大胆な変化を加えつつ、表題曲でなりを潜めていた京のグロウル／スクリームが炸裂して喉の復調を伝えてくれる。更に表題曲のリミックスは、主にゲーム音楽のクリエイターとして知られる山岡晃が担当。意外な人選だが、強烈な情景喚起をもたらすアンビエントなアレンジが見事に嵌っていて最高だ。ライヴDVDが同梱された完全受注生産限定盤も。（小池宏和）