豪傑サソリの威力の在り処
スコーピオンズ『MTVアンプラグド?ライヴ・イン・アテネ』
2013年12月11日発売
2013年12月11日発売
ALBUM
今年9月にギリシャ・アテネのリカベツス・シアターで行われた、『MTVアンプラグド』史上初の野外ライヴの模様を収録した2枚組ライヴ盤。“ダンシング・ウィズ・ザ・ムーンライト”“ロックンロール・バンド”をはじめライヴ初お披露目となった新曲群に加え、“愛のために生きて”などライヴ初披露の既発曲に久々のライヴ実演の曲も盛り込んだセットリストも、女性シンガー=ケイタとクラウスのデュエットを8人編成のストリングスが彩ったり(“イン・トランス”)、a-haのモートン・ハルケットが登場したり(“ウィンド・オブ・チェンジ”)といった豪華ゲストの数々も、それだけで驚きと感激を呼ぶのに十分なものだ。が、何より今作を特別なライヴ作品にしているのは、野外のステージという舞台設定、アンプラグドというフォーマットを誰よりもメンバー自身が謳歌しながら、個々のメロディに悠久のスケール感と原曲を超えるほどの包容力を与えて解き放っている点だ。音圧よりも楽曲そのものに威力と美学を宿してきたスコーピオンズの深度を明確に証明する名作。来年にはドイツでもアンプラグドをやるらしい。日本でもぜひ!(高橋智樹)