歌の可能性を深耕する

サカナクション『グッドバイ/ユリイカ』
2014年01月15日発売
SINGLE
サカナクション グッドバイ/ユリイカ
もしサカナクションが海外のバンドなら1年の間に、『sakanaction』ほどの力作・大作を作り、セールス面で結果を残し、長いツアーもこなし、大会場でのリアル・サラウンド・ライヴなんて大実験を成功させ、世界最高水準のライヴビデオを出したら、絶対に3年は休むはず。

だが彼らはこうして年明け早々に新曲を発表し、ツアーも敢行する。自らを駆り立てて走り続けなければ見えないもの、達し得ない場所があるということなのだ。

この短いタームでは、サウンド上の大胆な新機軸というよりも、歌詞を自己の内面深くまで掘り下げることで歌の可能性を探るような形となった。繊細なギターロックに始まり、ドラマティックに展開していく“グッドバイ”は、音楽家としての自分のアイデンティティの確認と決意表明のような内容で、なるほど生き急ぐように疾走する過程で得られた実感なのだろう。この曲も“ユリイカ”も、インストゥルメンタル・グループというよりも、歌ものバンドとしての自らをはっきりと打ち出した作品。短期間の制作ゆえのやむをえぬ選択というより、彼らの成長の結果の必然だと思う。(小野島大)
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