ラックライフ 祝・メジャーデビュー! いざ、ライヴハウスとお茶の間を繋ぐ(2)
ラックライフが存在することで、全国にいてくれる僕らを認めてくれる人たちが自分自身を肯定できることに繋がったらいいなと
──では、新曲のお話をしましょう。今回のシングルのタイトル曲“名前を呼ぶよ”は、テレビアニメ『文豪ストレイドッグス』のエンディングテーマですね。
「タイアップのお話を頂いてから書いた曲です。原作を読ませて頂いたんですけど、『誰かに生きてていいよと言われないと、人は生きてはいけないんだ』っていうようなフレーズが出てきて。それにすごく共感したところからイメージを膨らませていきました。『自分の中でそう思うことってなんやろ?』って考えましたね。そこで思い浮かんだのがライヴハウスでのライヴ。『今日のライヴ、良かったです』とか『明日から頑張れます』とかいう感想の言葉をもらうことによって、自分たちはやってこられたんですよ。しんどい時も『ああ言ってくれる人たちがいたから、まだ踏ん張らなあかんわ』と。だから、そう思った時のことを考えながら曲にしました」
──お客さんがかけてくれる言葉が、バンドの存在理由を確かめさせてくれたということですか?
「まさにそういうことです。そして、逆にラックライフが存在することによって、全国各地にいてくれる僕らを認めてくれる人たちが自分自身を肯定できることに繋がったらいいなと。こういうのは普段から思っていることではあるんですけど、曲として形にするきっかけはあまりなかったのかなと。だから『文豪ストレイドッグス』によって、自分の中にあったものを真っ直ぐ出すことができました」
──『文豪ストレイドッグス』って、実在した文豪たちをもとにしたキャラクターが繰り広げるバトルストーリーですけど、例えば太宰治が『人間失格』っていう攻撃で、相手の能力を無効化したりするんですよね?
「はい(笑)。面白いですよ。発想も素晴らしいです。こういうストーリーを考えられるクリエイターのみなさんからの刺激も、今回のタイアップで頂くことができました。いろんなきっかけが今後もあったらいいですね」
──サウンド面に関しては、アニメサイドからの要望は何かありました?
「アニメの余韻を感じさせるようなバラードが欲しいとおっしゃっていました。原作はバトル漫画なので、最初はバラードのイメージがなかなか湧かなくて。でも、先ほど言ったテーマを見つけてからは、サウンドのイメージもすんなりと見えてきました。アニメのエンディングでこの曲が流れたのを観たんですけど、感動しましたよ。切なさもすごく感じるものになっていて、めっちゃ良かったです」
──この曲、リスナーに新鮮な視点を感じて頂けるんじゃないですかね。名前を呼んでもらったり、自分が誰かの名前を呼ぶって、存在を確かめ合える行為の極みだなと、僕も聴いて改めて感じました。
「名前って何気ないものですけど、大事ですよ。小学校の頃に自分の名前について調べる宿題があったんですけど、意味を知っちゃうと『ちゃんとしなきゃな』と思いましたし……とか言いながら今の僕の名前、PONですけど(笑)。僕、小学校2年生からずっとあだ名がPON。最初『ウエポン』と呼ばれていて、最終的に意味があった『ウエ』がとれて、意味のない『ポン』だけ残ったんです(笑)。まあ、それはともかく、この曲、アニメで流れるところだけはなく、フルでもいろんな人に聴いて欲しいですね。同じ歌詞でも、最後にもう一度聴くとまた違った印象がしたりするものですから。アレンジも気に入っています。いつも僕が大体の骨組みを持って行って、メンバーが全体のバランスをとりながら各々の楽器のアレンジをするんですけど、今回もみんながええ感じにしてくれました」
──個々のプレイヤーの味が加わるのって、ロックバンドの醍醐味ですね。
「はい。意外性のあるものになるのって、作っていて面白いところですから。『そんなことする⁉』っていう(笑)。僕らも毎回『4人で作ってる』っていう感じがしています。時間はかかるんですけど、バンドってそれが楽しかったりもするし、それがラックライフの音楽になっているので、これからもちゃんとそこをやっていきたいです」
ラックライフは、ライヴハウスで生き続けるバンドでありたいです。直接伝えたい。だって『ちゃんと目見て話さなあかん』って学校の先生に言われましたから(笑)
──ラックライフって、各メンバーのプレイのカラーも結構強いですよね?
「癖は強い方だと思います(笑)。それが持ち味やなと理解したのが、ここ1、2年です。そんなところも今後、さらに押し出していけたらなと」
──ちょっと口の悪い言い方をすると……ロックバンドって遠回りが多くて、効率も決して良くない表現スタイルですよね。正直言ってDTMでもいい音楽がたくさん作れるし、合理的なところがあるのはたしかですけど、そこにはないかけがえのなさを持っているのがロックバンドであり、ラックライフもそういう存在だなと。
「そうやって言われると、僕ら、めっちゃ頭悪いことやっていますね(笑)」
──すみません(笑)。悪口じゃないです。
「分かってます(笑)。褒め言葉ですよ。そういうのがやっぱ好きやし、それがないとやりがいがないというか。機材車で走り回って、スタジオにも入って必死でやって、ちゃんと少しずつ積み上げている感じ……というか。それは楽しくて、しんどいことでももちろんあるんですけど。でも、それをちゃんとやれるロックバンドが、やっぱかっこええと思います」
──ライヴが大好きな人間としてもうひとつヒネた言い方をさせて頂くなら、ライヴも非効率の極みですよね。だって、リハを重ねた末にバンドがハイエースとかに乗ってわざわざ現地に行くし、部活をさぼったり仕事を早めに切り上げたりして時間を作ったお客さんたちがチケットを手に入れて集まるわけですから。でも、ライヴには行きたいし、やりたいじゃないですか?
「その通りです。ラックライフもものすごい数のライヴをやってツアーを回ってきたし、同じ釜の飯というか、同じ炊飯器の飯をメンバーと一緒に食べてきましたから(笑)。年間120本とかやったこともありましたよ。そういう非効率さがあってもライヴをやるのは、『直接』には敵わんもんがあるからですね。各地のいろんな人に会いに行っているところもあります。そういう大事なものがライヴハウスにはあるんです。だからラックライフは、ライヴハウスで生き続けるバンドでこれからもありたいです。直接伝えたい。だって僕、昔、『ちゃんと目見て話さなあかん』って学校の先生に言われましたから(笑)」
──何歳になっても大事なことです(笑)。
「(笑)なんやかんや、そういうのを楽しんでバンドをやっています。やっぱりライヴは大事。ライヴは僕らの充電方法であると同時に曲の源。ライヴがないと干からびてしまう感じがありますから、ラックライフはこのまま全く変わらずやっていくはずです。そして、これからどんなことを感じて、どんなことを歌にして、どんな風な音楽を作っていくのか? 不安でももちろんあるんですけど、楽しみでもあります。ロックバンドがアニソンをやりつつ、ちゃんとライヴハウスでも生きているっていうやり方の火付け役とまでは言わないですけど、そういうバンドにもなっていけたらいいですね」
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ミュージックビデオ
リリース情報
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『名前を呼ぶよ』
2016年5月11日(水)
\1,404(税込) LACM-14469
01. 名前を呼ぶよ(TVアニメ『文豪ストレイドッグス』エンディング主題歌)
02. ブレイバー
03. ストレンジマン
ライヴ情報
メジャーデビューシングル『名前を呼ぶよ』レコ発ツアー
2016年6月24日(金) 渋谷eggman
出演:ラックライフ / ゲストバンド有り
2016年7月2日(土)名古屋CLUB ROCK'N'ROLL
出演:ラックライフ / ゲストバンド有り
2016年7月9日(土)大阪MUSE
出演:ラックライフ / ゲストバンド有り
提供:ランティス
企画・制作:RO69編集部