sumika 普遍的に愛される音楽へ――バンドの枠を越えた進化の両A面シングルを語る!(2)
バンドをチームって言い換えただけで、バンドなんだからバンドらしいことしなさいよみたいな既成概念にまったく縛られなくなった
――ちなみに、このアレンジで行くぞって片岡さんから言われて、3人はどう思いました?
黒田 実はこの曲で、スライドバーの、ツーっていう1音しかギターを弾いてないんです(笑)。鉄琴とか木琴はやったんですけど。でも、この曲をこういう形にして届けたいっていうのは4人話し合って、みんなで納得してやってるので。いちばん大事なのはこの曲を伝えるっていうところで、そのために最善なのはこのアレンジだなっていうことで、何も抵抗はなかったですね。
片岡 引き算をうまくやったよね。前までだったら無理やりギターを入れてたと思うんだけど。グロッケンとかシロフォンのアレンジを入れようって言ったのは隼ちゃんだもんね。
――小川さんはどうでしたか?
小川 最初に、ピアノをメインで入れたいからって、ベースとドラムだけのデモが来て。やばい!って思ったけど(笑)、今まではギターががっつりあるところにピアノをのせるっていう工程しかなかったので。今回は初めての体験で。めちゃくちゃ楽しかったですね。
片岡 今までは7割5分くらいまで作り込んだ状態でデモを共有してたのを、逆にそれは可能性を減らすことになるのかなと思って、25%くらいの状態で送ってみたんです。これじゃイメージ見えないんじゃないかなくらいの、ほんとに骨みたいなものを投げつけたんで。
――それもある意味、信頼ですよね。
片岡 ほんとにそうですね。変に可能性を削らなかったからこそできたアレンジだとも思うし。
――これまでもそうだったけど、楽曲をいかに良くするかっていうところにきっちり目標が定まってますよね。それぞれ自分が担当する楽器においての職人的なこだわりより、伝えるためにはこの曲をみんなでどう料理するかっていうところに向かってるんですね。
片岡 バンドっていう響きに縛られなくなりましたね。「チーム」というか。「バンド」って言っちゃうと、バンドの人と外部の人みたいな感じになっちゃう部分があって。バンドをチームって言い換えただけで、頼ることに罪悪感がまったくなくなって。バンドなんだからバンドらしいことしなさいよみたいな既成概念にもまったく縛られなくなったし。
――まさに、私もこの曲を聴いて、ロックバンドっていう枠に捉われずにいい曲を作る、届けるっていうところに、焦点が合ってるなと感じて。前にインタヴューした時に、おじいちゃん・おばあちゃんになっても、ずっとみんなに聴いてもらえるものを作りたいっておっしゃってましたけど、明確にそこを目指してるんだなあと。
片岡 一生寄り添い遂げるというか、結婚っていうものをイメージして最後の歌詞を書いて。《最後の最期》まで一緒にいたいっていうのは、音楽と一緒に歩んでいきたいっていうところの意思表示だったりするので。それはまさしくその通りだと思います。
――それを宣言するというか、この復活っていうタイミングで、改めてsumikaの意志を表した曲ですね。
片岡 sumika流の愛情表現ってこういうことかなって。ほんとに120%、アレンジ含め、歌詞含め、すべてに落とし込めたかなっていう、やったぞ感、満足感はすごく高いですね。どやー!って(笑)。
(“「伝言歌」”は)今このタイミングでこのチームでやったら勝てるっていう自信があったから、入れられた
――今回、両A面ということでもう1曲についても訊きたいんですが。“「伝言歌」”は前身バンドのbanbi時代からある曲ということで。いつ頃作られた曲ですか?
片岡 僕が18くらいの時ですね。
――この前のライヴで、今回“「伝言歌」”を入れます!って言ったら、お客さんが沸いたじゃないですか。昔から聴き続けてくれて愛してくれてる人がいる曲を今出すなら、前の形を超えなきゃいけないわけで。今、この曲を改めて出そうと思ったのはなぜですか?
片岡 正式音源化しようよって話も何度もあったんですけど、初期衝動を超える自信がないからって、断り続けてきたんです。でも、休養を経て、チームに対して抱いているものが信頼なんだなって気づいた時に、今だったらあの時を超えられるかもなと思って。当然、技術的な部分は全員上がってると思うんですけど、それより人間力というか、今自分が持ってる心でこの曲と向き合えば、自然にあの時を超えられるなって思ったんですよ。だから変に構成をいじったり、アレンジを加えたり、歌詞を大幅に変えたり、歌い方を大幅に変えたりっていうことは一切してなくて。それで勝てるなと思って。で、やっぱりその通りだった。ほんとに素の状態で、裸で向き合えば、ちゃんとあの時を超えて。
黒田 ボロボロ泣いてたね。
片岡 完成して聴いた時に、もうボロボロ号泣して。ああ、やっぱり今やって良かったなって。復帰したこのタイミングの瞬発力というか、今じゃなかったら逆に出せないかなっていうのもあって。今このタイミングでこのチームでやりたい、そしたら勝てるっていう自信があったから、入れられたのかなと。
――今のsumikaっていうチームに対してすごく自信がある、これはもう絶対行けるぞっていうものが、実感としてあって、それが出てるんですね。
片岡 そう、なんのブーストもかけなくていい。素の自分たちで向き合えばそうなるっていう自信があります。時間が経過してるからその分、何か足していかなきゃいけないなみたいな使命感みたいなものもずっとどこかで感じていて。それが明確にならないから音源にできなかったっていう部分もあったんですけど、素でいいやっていうところで解決したから。
――今回のシングルのキーワードは「信頼」ですね。バンド結成からこれまでもいろんな困難があったけど、それを1個ずつ克服して強みにしてきた。そこで得てきた信頼が全部反映されている。
片岡 それに尽きますね、この2曲は。
――バランスもすごくいいですよね。2曲とも“Lovers”みたいな感じじゃなくて、“「伝言歌」”はこれまでのsumika節だから、方向転換したんじゃなくて、今後もいろんな可能性があるんだっていうことを提示できるシングルなのかなと。
片岡 今までのものは武器として持ちながら、新しい武器も手に入れましたよっていう完成披露試写会的な(笑)。
――まさにそうだと思います。でもまた次がどんな感じになるのか予想できない。どんどんハードルが上がってますよ(笑)。
片岡 どえらいですから。もうジャパニーズポップスのど真ん中に投げ込むやつを。任せて下さい、おもろいと思いますよ。
ミュージック・ビデオ
リリース情報
『Lovers / 「伝言歌」』※数量限定盤
発売日:2016年3月9日
価格:¥1,500+tax
品番:NOID-0009
仕様:CD+DVD
1.Lovers
2.「伝言歌」
3.Lovers(Instrumental)
4.「伝言歌」(Instrumental)
DVD収録内容
sumika Film #1 ~ふっかつののろし~
ライヴ情報
「Re:Birth」 Tour
2016年3月9日(水)愛知県 名古屋 APOLLO BASE(SOLDOUT)
2016年3月10日(木)大阪府 福島 LIVE SQUARE 2nd LINE(SOLDOUT)
2016年3月16日(水)東京都 恵比寿 LIQUID ROOM(SOLDOUT)
提供:エッグマン
企画・制作:RO69編集部