WANIMAがデビューしてからまだたった4年、あっという間にライブハウスからさいたまスーパーアリーナ単独公演大成功、さらに全国ライブハウス&アリーナツアー19公演大盛況、そしてついに単独ドーム公演2デイズ発表へ——彼らとそれを取り巻く状況はとんでもない速さで大きくなっている。
彼ら自身、「もっともっと多くの人たちに歌を届けたい」と最初からずっと言い続けていたし、僕も最初に彼らの音源を聴いた時点で「国民的バンドになる」と信じて疑わなかったから、最高の展開だなと思う。今の若手バンドシーンの規模感を突き破るという意味でもWANIMAの快進撃は頼もしい。
今回は「Everybody!! Tour」の振り返りと、映画『OVER DRIVE』の主題歌として配信リリースされた新曲“Drive”についてもしっかりと語ってもらった。
“Drive”は、渇いた喉に水を流し込んだようにぐんぐん入ってくる軽快な曲なのに、実はものすごく磨き上げられたメロディと緻密に構成されたアレンジが特濃で注ぎ込まれた力作だ。すべてを背負って全力疾走している今のWANIMAだからこそ生まれた曲であるということが、インタビューから伝わると思う。
なお、このインタビューのロングバージョンと、4月22日・幕張メッセ公演レポートによるWANIMAの今に迫った大特集が、発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』7月号に掲載されているので、ぜひそちらも併せて読んでほしい
インタビュー:山崎洋一郎 撮影:瀧本 JON... 行秀
僕たち3人だけでWANIMAじゃないんだなって。これだけみんなが求めてくれて、いろんなところで生活の一部になってるっていうのは、ほんとにすごいことなんだなって(KENTA)
——デビューしてあっと言う間にさいたまスーパーアリーナを成功させて。そこから幕張メッセ、アリーナツアーに出て、今度は(メットライフ)ドーム公演2デイズっていう、もう桁違いのスピードで来ています。まずは今回のツアーについて、それぞれ感想を訊きたいんですけども。
FUJI(Dr・Cho) ライブハウスとアリーナだったんで、そこをどう差別化しようって不安もあったし、楽しみでもあったし。特にアリーナだとセットリストがだいぶ長くなるから、大丈夫かなっていう不安はあったんですけど。でも、メンバーやチームと話す機会も多くて。毎回同じこと言ってますけど、成長できたツアーだなと思います。
——それが一番ですね。KO-SHINは?
KO-SHIN(G・Cho) アリーナって初の試みだったけど、試行錯誤の結果、すごいかっこ良くなったと思います。ライブ自体はもっとできるなって、反省点もあったけど、今までになかった気付きもあって。やっぱり強くなった気がします。あとはお客さんたちのキラッキラの笑顔を見て、すっごい安心しました。
——なるほどね。KENTAはどう?
KENTA(Vo・B) たくさんの人に音楽を届けるために、ライブハウスとアリーナ編にして。アリーナはエンドステージ(ライブにおいて最もポピュラーな、ステージと客席が向かい合う形)でもやれたんですけど、それだと、みんなを驚かしたいとか、1日の楽しみに向かうっていうWANIMAのスタイル的にはパンチないなと思って、センターステージにして。あのステージから学ぶものはすごい多かったですね。今回のツアーは僕たち3人だけでWANIMAじゃないんだなってすごい思ったです。これだけみんなが求めてくれて、WANIMAとともに歌ったり、生活の一部になってるって、ほんとすごいことが起きてるんだなって感じでしたね
——その360度ステージってどうだったんですか?
KENTA なんでみんなやらないんだろって思ってたんですけど、やってみて、「あ、これはやらないな」と(笑)。逆にWANIMAくらいしかやれないんじゃないかなってちょっと思っちゃったですね。ほんと逃げ場がないので。
——そもそもなんでやろうと思ったの?
KENTA ただ大きいとこでやるっていうのじゃ面白くないなって思ったんですよね。やっぱ全員を楽しませたいし。単純にお客さんとの距離が離れたくないっていう。
——ほんと単純な発想なんだ(笑)。小学生みたい。
KENTA はい、単純なんです(笑)。
——俺は、新潟の朱鷺メッセで観させてもらったんだけど。内容云々より、まずセンターステージを観て、何考えてんだと思いましたよ(笑)。だって、ずーっと大きなツアーをやり続けて、いい加減変わったことやりたいよねっていうバンドがやるならわかります。でも初めてのアリーナツアーで、いきなりすげえリスキーなことやってるなって感じで。考えないんだね、そういうこと。
KENTA そう言われるとそうですね!
FUJI その山崎さんの考えが最初にあったらやってなかったですね(笑)。
——そうでしょ(笑)。
KENTA 隠れて、お客さんが入場する姿とか見てたんですけど、みんな「わー、すごい!」って入ってくるんですよ。やっぱその姿見ると、センターステージでよかったなと思いましたね。センターステージで弾き語りもやったんですけど、最初はすごい不安が大きかったんです。FUJIくんはポコポコ叩いて、KO-SHINはアコギ1本で、俺が歌うっていう。でもお客さんの表情見ると、技術とかそういうとこよりも、WANIMAの歌でみんなとつながってるんだなって。
——なるほどね。FUJIくんはセンターステージどうでした?
KENTA ドラムやから動けないですもんね。まあ動いてたけど。
FUJI はい、動かしてもらったんです。代わりに叩いてもらったりして。後ろにいる人をどうやったら盛り上げられるだろうかって、思いっきり体ひねって煽ったりとか。そういう遊び心というか、センターステージにしたことによって、今までやらなかったことがどんどん出てきて、単純に自分たちも面白かったですし、結果それがいい方向にいったかなって。
KO-SHIN ほんと、どこ見てもお客さんたちと目が合うんですよ。それが僕たちの心を動かすというか。やっぱすごい元気もらってますね。それをあのステージで再確認しました。
——やるほうとしては最高ですよね。
KENTA 準備してくなかで、やりたいことが増えてったんですけど、アイデアが出れば出るほど、シンプルになっていって。1年前のさいたまから何が変わったかというと、歌。『Everybody!!』の曲を歌って、弾き語りするってスタイルは、ツアー中変わってないんです。結局ちゃんと歌って、何を伝えたいかがちゃんとあれば大丈夫なのかなって。
大阪で“SNOW”をやった時に、何も言ってないのにみんながライト照らしてくれて。あ、ほんとにみんなで1個のライブをつくり上げてるんだなって、すごいグッと来た(FUJI)
——もうひとつ、このツアーの大きなテーマは、『Everybody!!』をみんなの前に届けるってことだよね。『Everybody!!』から新曲が11曲セットリストのなかに加わって。
KENTA あ、そんな入ってるんですね。
——そういう意味ではどうでした?
KENTA 僕たち以上にみんなが歌を覚えてきてくれてるのがすごい嬉しかったですね。ちゃんと届いてるんだって、グッと来るポイントでした。
FUJI やっぱライブを重ねて、お客さんと触れ合うことで、また違った曲に変化してったり。“ANCHOR”とかも、意外とみんな聴き入ってて、でもサビになったらバーンと爆発したり。そうやってツアーのなかで曲が育っていって。
KO-SHIN ほんと会場全員で1曲を演奏してる感じがすごい見えました。
KENTA 聴いた人それぞれの、その日の“ANCHOR”が出てきて、ああいう空気とか一体感になったと思うんですよね。だから今回、新曲もやったけど、もっと自分が信じてるもの、もっとつくりたい音楽をつくっていいのかなって気がしました。これからも変わらずに、いろんな音楽をつくりたいなと思ったっすね。
——歌詞も、わかりやすく面白いものを求められてるのかなとも思ったけど、やっぱり自分の書きたい方向で書いたんだって言ってたじゃない? そういう意味では、やっててどうだった?
KENTA ほんとライブ以外でも、お客さんからいただく差し入れやったり手紙やったり……みんなの表面ではわからない悩みとか不安、そういうことに触れた時に、ちゃんと音楽と向き合ってつくって良かったなって思いましたね。その姿勢はブレたくないなって。
——なるほどね。今回、今までにないような手応えってありました?
KENTA いや、まあ開催しがちなバンドなんで。やっぱお客さんも、来た人も、ともに開催しがちでしたね。開催ポイントは、常に開催してました。
——たしかに、そうだったね。
KENTA やっぱその日をめちゃくちゃ楽しみにしてきてるんだっていうのを、お互い確認し合えたのは大きかったです。でも、満足してないよの提示じゃないですけど、「Everybody!! Tour」とは言え、俺らはそれだけを届けにきたんじゃなくて、新曲を1曲と言わず2曲歌っちゃうWANIMA。そこがみんなに届いてればいいなって。僕たちは歌でつながるしか、みんなと生きる道はないなと思ったんですよね。だからみんなが働いたり学校行ったりするように、僕たちは練習場所に行って、新しい曲をつくって、歌を届ける。それがやりたいことなんで。そこは昔よりも明確になりました。
——いいですね。KO-SHINはどう? 自分なりに新しい感触はありました?
KO-SHIN 僕らギター、ドラム、ベースっていうすごいシンプルな形じゃないですか。それであんな1万人、2万人の前でやって。しかもお客さんの声がプラスされると、こんなにもすごい空間になるんだ!って。このお客さんたちの声って最強だなと思いました。
——たしかに。ほんとそうですよ。
KO-SHIN はい。すごいいいこと言った気がします(笑)。これに勝るものないなと思いました。
KENTA まさるくんだ。西田まさるくん(笑)。
——ツアーのなかで、特にヤバい出来事、あるいは最高だったエピソードってありますか?
FUJI 大阪公演で“SNOW”をやった時に、何も言ってないのにみんながライト照らしてくれた瞬間は、あ、ほんとにみんなで1個のライブをつくり上げてるんだなって、すごいグッと来ました。
KENTA でも、もうその次からのアリーナ全部、ライト照らすんです(笑)。もうよかて!って思って(笑)。
——いいじゃない、それは!
KENTA いやいや、大阪の時はみんなが自然にやったのが驚いたんですよ。もうほんとひとりひとり抱きしめたいと思ったくらい。でも次からは、もうやらんでよかて、おまえら!って。
FUJI ははははは! 聞いただろ、と。
——いやいや、それぞれの自然だから。
KENTA そうですね。それぞれの自然が不自然を生むんですね(笑)。
——楽しんでるんだから。
KENTA そっか。すいません。
FUJI ありがたいですね。