YOSHIKI(X JAPAN)とのコラボで話題となったシングル『ZIPANG』で2019年の幕を開けたHYDEから、早くも次なるシングル『MAD QUALIA』が届いた。アクションゲーム『デビル メイ クライ 5』のイメージソングとして書き下ろされたタイトル曲は、HYDEの世界観とゲームのダークなイメージがばっちり共鳴し合う、スピード感溢れるストレートなロックチューンだ。さらにカップリングには、コール&レスポンスパートが印象的なアレンジでセルフカバーされ、各地のフェスのステージで大きな盛り上がりを生んだ“HONEY”を収録。ソロ再始動から、今作を含めて実に5作のシングルでさまざまな表情を打ち出してきたアーティスト・HYDEの、国内/海外やジャンルの壁を軽やかに越え、自由に羽ばたく攻撃性の源とは? さらに、気になるアルバムのリリースを見据える、2019年のビジョンにも迫った。
インタビュー=後藤寛子
自由な選択をしていった結果、という感じです
――2月にシングル『ZIPANG』が発売されたばかりですが、早速3月20日にニューシングル『MAD QUALIA』がリリースということで。
「はい、そうですね」
――シングルをこれだけ続けてリリースするっていうのは、再始動当初から考えていたことだったんですか?
「その時にひとつひとつできることを考えていったらこうなったって感じですね。まず、ツアーをやることが決まっていたので。これ、ツアーまでにアルバムは間に合わないなあ、ってなった時に、たとえば、まずツアーでやる曲は必要だから、レコーディングはしなくても一旦とりあえず曲だけ集めようとか。そこから、じゃあアルバムはできなくてもシングルは出せるよね、だったらシングルいっぱい出していこうぜとか考えていって」
――なるほど。決めていたわけではなくて。
「だから、その時々に自由な選択をしていった結果という感じです」
――前回『ZIPANG』のインタビューでも仰ってましたが、ソロの活動の特徴として、やっぱり自由さっていうのをすごく感じますね。
「そうですね、その時々、自分ひとりの判断でいけるので、自由さはありますね」
――活動をしていくうえでやりやすいようにやっていって、それが成功だったなって手応えはあります?
「うん、ありますね」
――“ZIPANG”から一転、今回の“MAD QUALIA”はほんとにストレートなロックで、かつサビはメロディアスという、HYDEさんの得意とするところがいかんなく発揮されてるなあという印象の楽曲になりましたけど、この曲をシングルに選んだ経緯は?
「僕的に好みの曲だったっていうのもありつつ、タイアップの関係もあって、リリースすることが先に決まってたんで、それに向けて理想的な曲を、という感じですね。あとは、やっぱりライブで盛り上がるような曲がいいなあと思ったんで」
――これまでストックしてる中から選んだんですか?
「いやいや、『デビル メイ クライ 5』のタイアップをめがけて作った曲です。ストックもいろいろあったけど、それに合うような曲がなかったんですよ。だから、締め切りまでにかっこいい曲を作ろうと思って、結構締め切り間際に頑張って作ったって感じですね」
――じゃあ、去年の忙しい中で制作していったんですね。
「そうそう。僕自身で曲を完成させることができなかったんで、今回はShoくん(MY FIRST STORY)が作ってくれた曲があって、そこにメロディをはめていった感じですね。“FAKE DIVINE”もそうだったんですけど。あと、今回は唯一、外国のプロデューサーを使わなかったんです。だからそのぶん気合い入れて、自分たちでアレンジしていくって感じでした」
――外国のプロデューサーが入らないって久しぶりなんですか?
「今回が初めてですね」
――そうなんですね。たしかに、そう言われると仕上がりの感触が違いますよね。ヘビーさの中にポップさも感じるというか、聴いていて体に馴染みやすい感じがします。
「うんうん」
海外進出は、もう半分趣味みたいな感じですね。それがなければ目標がないので
――すでに2018年末からライブでも披露されてますけど、手応えとしてはいかがですか?
「最高ですね!」
――おお! 思い描いていたライブでのリアクションが得られてますか?
「まあ、まだ爆発するまではいたってないですけどね。新曲だから、まだみんな聴き入ってる感じなんで。でもシングルとして出たあとは、さらに爆発すると思いますよ」
――ライブですぐ浸透しそうなキャッチーさもありますよね。楽曲自体は楽しいですけど、歌詞を見ていくと、孤独感とか、疎外感が感じられる内容で。振り返ると、一連のソロシングルでも、やっぱりそういう孤独感とか、自分の道を進むために闘ってる感が感じられたんですけど、今HYDEさんが歌詞として表現したいものって、どういうところですか?
「うーん、どうですかね。結構激しい曲が多いから、やっぱり怒りとかがメインになっちゃうよね。特にアメリカとかって、めちゃくちゃポップな曲でも怒ってるからね(笑)」
――たしかに(笑)。
「ずっとみんな怒ってるから」
――その影響もあると。でもやっぱり、元になる感情がHYDEさんの中にあるわけですよね。
「普段の日常を生きていて、自分的には理解できないこととか、そういうものがやっぱり歌詞を書くタイミングで浮かび上がってきたりするから、それをかたちにしていくってことですね」
――楽曲もそうですし、歌詞もそうですし、ソロになって自分の中から出てくるものをかたちにする時に、今何が一番モチベーションになってますか?
「基本は、やっぱり曲も詞も、海外的な戦略の中のひとつとして、ですね。あとは、もうそんなに長くも続けられないんで、現状でどういうことができるかなっていうのを考えてやっている感じです」
――VAMPSの時から、海外でやっていくためにというのはずっと第一に仰ってますけど、それはソロになっても変わらず?
「そうですね。それはVAMPSの時からまったく変わってないです。VAMPSが止まっちゃったんで、仕方なくソロで、もう一度同じスタンスになって、さらなる飛躍を目指してる感じです。僕なりのやり方でやっていこうと。もう(海外進出は)半分趣味みたいな感じですね。それがなければ目標がないな、みたいなところがあるんですよ」
――モチベーションとして必要なんですね。
「というか、それがメインなので。だからそれを主軸にしながら、音楽でいろいろ遊んでる感じですかね」