新体制となった「ぜんぶ君のせいだ。」。5thアルバム『或夢命』が示す現在地とは?

新体制となった「ぜんぶ君のせいだ。」。5thアルバム『或夢命』が示す現在地とは?

ぜん君。は、後ろに下がるのが下手ですし、待つことも嫌いだし、せっかちが集まってるんです(如月愛海)


――“世界にたった一人ちっぽけな君を”は、患いさんとみなさんが支え合って前に進んでいる姿が、すごく伝わってくる曲です。

征之丞十五時 十五時も自分自身のことを「ちっぽけだなあ」って思っていましたし、代弁してくれているような曲を歌えるのが嬉しいですね。

――ぜん君。の音楽は、サウンドが激しい曲でも、根本にあるものは優しいですよね。

如月愛海 人類全員に優しいです(笑)。ぜん君。の曲は、等身大の自分たちが入っているから、人間が思うことは全部入っているんです。

ましろ メンバー自身がぜんぶ君のせいだ。に救われているから、いろんなみなさんに返していきたいんですよね。でも、内にある棘の部分は、ずっと変わらないんですけど。

一十三四 例えば、“When you 2 WANT”は、昔からやっている曲の2019年版なんですけど、世間に対するひねくれた姿勢が、新しい形で出ています。

――今作には、お馴染みの曲の新バージョンもいろいろ収録されていますね。

如月愛海 例えば、“革鳴前夜”は、「ちゃんと進むよ」ということを提示したい時に必ず歌ってきた曲なんですよ。

ましろ “革鳴前夜”はアルバムの最後の曲ですから、ここから先のことを想像して、ワクワクしていただけたらいいですね。

――「To be continued」という、映画のラストの文字のような曲?

如月愛海 むしろオープニングかもしれないですね。

ましろ うん。「ここから始まる」という壮絶なオープニングです(笑)。もっと見たい景色がありますから、「まだまだ先があるなあ」ってワクワクしています。

如月愛海 そもそも、ぜん君。が始まってすぐの頃から「武道館」というのを掲げてますからね。

ましろ 始まって2日か3日で、その話になったよね?

如月愛海 うん。夢じゃなくなったと思ってます。ぜん君。は、後ろに下がるのが下手ですし、待つことも嫌いだし、せっかちが集まってるんです。それに、自分たちが「武道館」って掲げたからには、進むしかないじゃないですか。

ましろ 進めてる実感がなかったとしても、常に気持ちが前(笑)。進みたい気持ちがあるから、その道しか見えないんです。

征之丞十五時 入る前から、そういうぜんぶ君のせいだ。が、好きでした。自分がステージに立つ側になったので、不思議な感覚ですね。

――この5人になってまだそれほど経っていないわけですけど、前に進むしかないという気持ちも共有できているんですね。

如月愛海 はい。もう何年も一緒にやってる感じがしますからね。実は前世くらいで既に出会ってた?

凪あけぼの そうかもしれない(笑)。

ましろ まあ、半年でする活動量ではなかったですからね。シングルふたつ出して、アルバムひとつ出して、31公演するだけで、1、2年分の密度があると思いますから。

「女の子だから」とか言ってる人が、一番音楽をちゃんと聴いてないと思います(ましろ)


――この5人だからこそ生み出せるようになったものすごいエネルギーも、今回のアルバムには、すごく反映されているんだと思います。例えば、“Greedy Survive”なんて、3、4人で歌うとしたら、絶対に息が続かない怒涛の展開じゃないですか。

如月愛海 これは、5人でもきついです(笑)。

一十三四 ひとりひとりのフレーズも長いですし。

――《お互いが縛り合い 窮屈が心地いい 異常こそ正常だ。》というフレーズが、とても印象的です。ちょっとストーカーっぽいですけど、こういう危険な愛情は、実は結構、誰もが持っているんじゃないですかね?

一十三四 そうですよね。ぜん君。は、初期の曲は特にそうなんですけど、ちょっとストーカー気味なんですよ(笑)。

如月愛海 おっしゃる通り、誰もがこういう気持ちって、持ってるはずなんですよ。ぜん君。は、そういうことしか歌ってません。

ましろ 「これが正常だ」って、みんなが同じようなことを言ってるほうが、一番異常なんですよ。それはやめたほうがいいと思います!

――ぜん君。は、「病みかわいい」が、コンセプトですけど、「病んでいる」という状態って、実はそんなに特殊なことではないですよね?

如月愛海 その通りです。つまり、私たちは普通の人ってことなんですよ。みんなと同じようなことで悩んでますから。そういうことを、全部歌にできてます。

ましろ そういう気持ちを出しつつ、あっけらかんと遊びに変えることもできるのが、ぜんぶ君のせいだ。です。もやもやを遊びにするのって、ものすごくいい変換方法なんですよ。

――ぜん君。の曲は、パワフルなサウンドも満載されていますから、もやもやを楽しさに変換しやすいですよね。

ましろ そうなんです。ロックを聴いてる人も好きだと思いますよ。むしろそっち寄りっていう気もしています。僕たち、バンド隊もメンバーのように一緒にステージに立ってライブをやりますし。「女の子がいっぱい歌ってるから違う」っていうようなことを思うのは、もう違う時代なんです。

如月愛海 言っておきますが、私たちはその辺の男の子よりも意志が強いですよ(笑)。

ましろ 「女の子だから」とか言ってる人が、一番音楽をちゃんと聴いてないと思います。

如月愛海 「女の子が歌ってるから違う」って思うんだったら、自分たちの声を打楽器だと思っていただいても構わないです(笑)。それくらい自分たちの音楽に自信がありますし、どんな人にも刺さるものがあると思います。

征之丞十五時 だから、まずは好き嫌いせず、一度聴いてほしいという気持ちでいっぱいなんです。

凪あけぼの ぼのも、ぜん君。に入ってから「聴いたことない曲を聴いてみよう」ってなって、「これ、いい曲!」って思うことがよくありますからね。いろいろ聴いたほうが楽しいはずです。

一十三四 ぜん君。を一口試してみて、気に入らなかったら吐き出していただいてもいいので。

如月愛海 吐き出しても怒りません(笑)。

ましろ そして、ライブも観ていただきたんですよ。汗水たらして、なんならよだれもたらして、目をがん開きにして歌ってますからね。

如月愛海 ただし、女の子なので、ずるいことに、かわいい曲も歌います。そういう女の子としての強みも活かさせていただいております(笑)。

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