──カップリングの“ビネットネット”は笹川真生さんらしい攻めたエレクトロサウンドの中で、7人のボーカリストとしての歌唱力やキャラ立ちを存分に感じる曲でした。小泉さんはAメロの掛け合いだったりラストのハイトーンだったり重要なパートを歌われていると思ったんですが、歌ってみてどうでした?“ビネットネット”では、いつもの歌い方ではない、笹川さんらしい世界観を自分なりに解釈しながら、そこに合った歌い方ができて。技術面でも挑戦がありました(小泉)
小泉 難しかったですね。これまでの曲と比べてもちょっと変わったサウンド感というのもありましたし、語尾で音程が急に落ちるところがあったりして、いつもの歌い方ではない、笹川さんらしい世界観を自分なりに解釈しながら、そこに合った歌い方ができたなと思います。僕のパート割りでは、セクシーな感じの歌い方が合っているところが多かったので、セクシーさを意識して歌っていて。ラストの《醒めて、》のところは、ロングトーンだからこそビブラートをかけたり、技術面でも挑戦がありました。
──落ちサビの《今更かみさまとか言われても視えない。》のところは桜木さんが歌われていますが、ここのビブラートもすごく美しかったです。
桜木 僕はゲンジブの曲で落ちサビを歌うことが多くて。歌のレベルを1個上げないといけないと思ってビブラートを練習してたんですけど、ここではその成果を出せた気がします。あと、光咲も言ってたセクシーさが出ればいいなとも思っていて。僕は息が多い歌い方なんですけど、それを存分に活かせましたね。
──武藤さんはどうでした?
武藤 Aメロの最初の1〜2行を息が多い声で歌ってるんですけど、それで1曲丸々歌ってほしいというオーダーがあって。僕としては新しい歌い方だったので、「歌っているのか、これは?」という感覚ではありました。だから、レコーディングが終わったあとは、「これ俺の声か?」という不思議な気持ちになりましたね(笑)。
大倉 潤、すげえ違ったよな。
小泉 潤くんはいつもサビを歌うことが多いから、こういう優しい歌声はあまり聴き馴染みがなくて新鮮でしたね。
──そして、吉澤さんの低音のハモリも効いているなと。
吉澤 この曲は、ほぼ全部オクターブ下を録りましたね。メンバーそれぞれの歌い方の個性があるから、それを聴きながらオク下を入れるのが楽しかったです。僕はあんまり自我を出さずに、みんなのそれぞれの歌い方に寄り添う感じで録っていきました。
──タイトルに使われている「ビネット」という単語は、笹川さんのコメントを読むと写真のビネット効果を意味しているのかなと思ったんですが、“パラノイドランデブー”と“ビネットネット”どちらも「写真」のモチーフで繋がってますよね。
長野 ああ、確かに。
──この曲は、受け取った時にどう感じましたか?
長野 ゲンジブらしさのひとつに「歌詞にネットミームを使うこと」があると思うんですけど、それをおしゃれにやっていただいて、ゲンジブらしさを補完していただいたなと思います。あと、笹川さんってゲンジブが目指してるものに近いことをやってらっしゃる方だと思っていたので、笹川さんらしい曲がきたらいいなと思ってたんですけど、まさしくイメージ通りの曲で、しかも何倍も素敵になってきたという感じだったので、すごく嬉しかったですね。
──“希望的観測の定義”についてはリリースされてのお楽しみということで、最後に質問させてください。“パラノイドランデブー”、“ビネットネット”の歌唱からも、7月の代々木第一体育館ワンマン「ARENA LIVE 2025 序破急」からも感じたことですが、最近のゲンジブは7人の個性が作り出すグループとしての7角形がとてもいいバランスに整ってきて、グループとしてのあり方が美しく固まり始めてるという印象があります。皆さんの実感としてはいかがでしょうか?「序破急」は、めちゃくちゃやりたいことができたライブだったんです。7人の個性というか能力が試される時間を乗り越えられた僕らはほんとにチームだったなと思います(武藤)
武藤 そう言ってもらえるとめっちゃ嬉しいですね。「序破急」は、めちゃくちゃやりたいことができたライブだったんですよ。今まででいちばん規模も大きいし、セットもデカいし、お客さんもたくさんいる中で、それこそ7人の個性というか能力がめちゃくちゃ試される時間ではあったので、それを乗り越えられた僕らはほんとにチームだったなと思います。観てくれた人にひとつの物語を伝えたくて、幕間映像の流れからいい感じに曲に繋がるようにセットリストを考えたり、みんなで話し合って決めていったライブだったので。制作段階から一緒に話し合えたからこそ、やりたいことができたなと。
──吉澤さんはどうでしょう?
吉澤 結成当初から全員がずっと「7人」にこだわってやってきているからこそ、今のこのバランス感がようやく整ってきたんじゃないかなと思ってます。みんな、グループ以外の場所でも仕事しながら、そこで得たことをグループに持ってきて、影響し合いながら、高め合いながらやっている。でも、原因は自分にある。という世界の中で守るべきもの、ある意味では自分を縛るべきものがある──ということを日々選択しながら活動してきていて、それによって今のこの感じが生まれてるんじゃないかなと思います。
大倉 状況ごとに中心になる人が違うというのを僕は感じていて。たとえば、デビュー当時はずーっと潤くんが歌を引っ張ってくれてたんですよ。デビューシングルの“原因は自分にある。”のサビなんて全部潤くんが歌ってるし。それって、すごく厳しい言葉を使うと、潤くんしか歌える人がいなかった。で、各々にたぶん「これまずいよな、今後」っていう意識があって、潤くんに歌で追いつかなきゃっていう気持ちが芽生えて。もうひとつ例を出すとしたら、グループ以外の仕事を通して原因は自分にある。を引っ張ってくれてたのは和人で。和人が最初に外の世界に出て、いろんなところで原因は自分にある。の名前を出してくれて、グループ以外の仕事を僕らに還元してくれて。そんな彼を見て、僕らも支えたいと思ったし、頑張らなきゃと思った。それ以外にも、シングルを出す時、リハーサルをする時、メンバーそれぞれが中心となるタイミングがあって、だからこそ今こういう形になってるのかなと思ってます。僕はライブでは自由にやらせてもらってて、思いっきり煽ったりもするんですけど、それはほかのメンバーが補完してくれてるからこそできてることなので。
──それぞれが別の場所で磨いたスキルをグループに持ち寄り、お互いに背中を預け合いながら個性も発揮できている──まさに理想的な状態ですね。最後に、ひと言いただきたいんですが、「自分が話したい!」という人はいますか?
杢代 (小泉の手を持って上げる)
長野 小泉だそうです!
小泉 嘘でしょ!(笑)。でも……やっぱ、昔の曲と今の曲を聴くと、一人ひとり自分の歌の個性を理解できるようになってると感じていて。だからこそ、1曲1曲においてまとまりが感じられるんじゃないかなと思ってます。曲ごとの世界観はありつつも、それぞれに歌い方の核があるから、歌割りも決めやすいですし。だからこそ、今後どんな楽曲がきても僕ららしさを作り上げることができるんじゃないかなと思ってます。
スタイリング=百瀬豪