RADWIMPS@さいたまスーパーアリーナ

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RADWIMPS@さいたまスーパーアリーナ
 「昨日はすげえいい日だったんだよ。すげえ高いところ、天空の城ラピュタぐらいまで行けたんだよ。今日はその上目指してみねえか? 誰も行ったことのない、パズーもシータも行ったことのないところに行ってみねえか?……俺、本気で言ってっかんな。愛してるよ。最後までよろしく!」……満場のさいたまスーパーアリーナ、1万8000人のオーディエンスに呼びかける野田洋次郎の言葉に、割れんばかりの拍手と大歓声が沸き上がる! 「会心の一撃編」「パーフェクトドリーマーズ編」の2シリーズ合わせて約半年にわたって行われている、RADWIMPSの全国ツアー『RADWIMPS GRAND PRIX 2014 実況生中継』。その「パーフェクトドリーマーズ編」序盤の大きな山場でもある、さいたまスーパーアリーナ2Daysの2日目。まだまだツアー続行中なので、以下のレポートではセットリストや演出の詳細については割愛、一部楽曲に触れつつライブの模様をダイジェストするに留めさせていただくが、ヘヴィな批評精神と死に物狂いの博愛精神が途方もないスケールで渦巻いていた最新アルバム『×と○と罪と』の世界が、この上ない多幸感と誠実さとなってアリーナを支配していた、最高のステージだった。
RADWIMPS@さいたまスーパーアリーナ
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 客電が消えた瞬間、感極まった大歓声に包まれたさいたまスーパーアリーナ。巨大なステージ上に野田洋次郎(Vo・G)、桑原彰(G・Cho)、武田祐介(B・Cho)、山口智史(Dr・Cho)の姿が照らし出されると、その熱量はさらに天井知らずに高まっていく。そんな会場の高揚感にほだされてか、序盤から曲中で山口のパート名を誤って「ベース」と紹介する野田。「ヤベえなヤベえな! ヤバすぎて『智史:ベース』って言った! 最初に深くお詫びします(笑)。そのぐらい、みんなからのエネルギーがヤベえってことだ! もっとくれ、もっとくれ!」ーー“パーフェクトベイビー”“実況中継”など『×と○と罪と』収録曲を軸に据えつつ、RADWIMPSヒストリーを彩ってきた名曲の数々を織り込んで至上の高揚感を生み出してみせたこの日のアクト。《さあ今日はどちらでいこう 全部世界のせいにして/被害者ヘブンで管巻くか 加害者思想で謝罪大会》という辛辣なフレーズから流れ込んだ“DARMA GRAND PRIX”のタイトかつミステリアスなグルーヴが会場一丸のシンガロングを巻き起こし、“Tummy”のピースフルなサウンドを浴びながらハンドマイクで歌い上げる野田のヴォーカルに合わせて、アリーナ&客席一面のクラップが巻き起こっていく。人間を疑い、人間を愛し、人間に憤り、人間を慈しむがゆえに、今の時代を生きるひとりの人間として、野田洋次郎が己の全存在を懸けて導き出した言葉とメロディ。そして、ミクスチャーもエモもパンクもヒップホップも鮮やかに越境しながら、その楽曲を雄大なスケール感をもった表現世界として鳴り響かせる、4人の精緻にしてダイナミックなアンサンブル。獰猛なビート感で会場丸ごと揺さぶった瞬間の熱狂も、1万8000人をでっかく抱き締めるような包容力に満ちた祝祭感も、静寂の中で誰もが身動きすら忘れて聴き入った野田の澄んだ歌も、すべての場面が決定的瞬間と呼ぶに相応しい目映さを備えていた。
RADWIMPS@さいたまスーパーアリーナ
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 「超幸せ! 死ぬならこんな日がいいな」と、熱気あふれる会場に意気揚々と語りかける野田。「これが現実なんだな、本当なんだなって思うと、もう嬉しくてしょうがないんだ。ヤバい、本当に! 嘘がいっぱいある世の中だけど、これが本当だと思うとさ、明日からとんでもなく素晴らしい世界があり得るんじゃないかなと思えます」……この日のライブの充実感を誰よりも全身で体現していた野田は、事あるごとに「これから」へ向けてのメッセージを発信していた。「今、大人たちは『当たり前』を勝手に作っていくじゃん? あなたたちがこれからの中心になるし、あなたたちが世界の一部になってーー文句を言ったところで自分らのせいだからさ、どんどん素晴らしい世界にしていこうよ」と真摯に言葉を発する一方で、「28とかになってみると気づくんだよ、『大人』なんかいないんだよね。白髪生えてようが、ハゲてようが、腰曲がってようが、ひとりの人間だし。俺が文句言ってたのは、俺が子供でありたかっただけだなって。大きくなった子供だったんだよね。みんな同じなんだよ。大人も子供も、上も下もなくて、ただ同じ地面の上にみんな立ってるだけで。そういうことが、28になってわかった気がする……だから、みんなも長生きしてさ、精一杯生きてください」とその批評の刃を自らにも向けつつ、観客ひとりひとりに呼びかけていた野田。人間という存在の罪深さと愚かさへの容赦ない攻撃であり、身も蓋もない懺悔でもあるようなRADWIMPSの音楽が、それでも明日を生きるための鼓動としての圧倒的なポジティビティを備えているのはひとえに、野田自身がその冷徹な視線越しにそれでも抱く、人間への渾身の信頼ゆえだろう。小気味よい躍動感に満ちたメロディとリズムが、聴く者の悲しみに寄り添うように響く“パーフェクトベイビー”。そして、神と仏による「人生ゲームの解説」が鋭利でカオティックなアンサンブルとともに響く中、狂おしく踊り回りながら放つ野田の歌が会場を妖しく震わせた“実況中継”……それらの言葉と演奏のすべてが惑星直列のように重なり合って、強烈なエネルギーとバイタリティを生み出していた。
RADWIMPS@さいたまスーパーアリーナ
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 「最初のアルバムと2ndアルバムは実は、埼玉の倉庫みたいなところでレコーディングしてて。ここの会場に来る途中に、たまたまそのレコーディングの時に使ってた合宿所のところを通って。『ここがすべての始まりだったんだなあ』って」(山口) 「ここに来る途中に『絶対来たことある!』っていうジョナサンがあって。そこからちょっと進んだところに、昔VOGUEっていって、今はHEAVEN'S ROCKって名前が変わったライブハウスがあって、ほんとこの会場と近いの。その時は、こんな大きな会場でやるなんて夢にも思ってなかったから、全然意識してなかったけど」(武田)と、この大舞台に立った万感の想いを語ったり、「みんな気づいてるかもしれないけど、カメラがたくさんあるっていうことは……たぶん、収録してます!」(桑原) 「出すかはわかんないけどね!」(野田)という会話に場内のテンションがさらに上がったり、野田いわく「うちらのよきライバル・バンド」=味噌汁'sのTシャツを着ている観客をいじる一幕があったり……といった場面が繰り広げられるごとに、メンバーとオーディエンスとのコミュニケーションは濃密さを増していく。「バンドにとってファンは鑑だと思うんだけど……誇りに思います。あなたたちの声援や視線は、僕らがやってきた音楽に対する答えなんだなと思って。これからも、あなたたちが『RADWIMPSを好きなんだ』って胸張って言えるバンドでいたいと思います。本当に、RADWIMPSと出会ってくれてありがとう!」……そんな野田の言葉に、熱い拍手が巻き起こっていた。
RADWIMPS@さいたまスーパーアリーナ
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 「何か変わりそうだよね。『変わる』ってすげえ難しいことだと思うし。大震災があって何万人っていう人が死んでも、原発は今だに作られたりするし、今だに原始的な戦争をいろんな国が本気でしてて。こんだけバカなんだなって。バカだなバカだなって言うけど、自分もその一味だし」……ライブの終盤、野田はひときわシリアスな口調でそう語っていた。「でも、変わるっていうのはそんな大きな話じゃなくて。今日の夜から、母ちゃんに『ありがとう』って言ってみるとか、言えなかったひと言を言ってみるとか……100年後、ここにいる全員がいないから、たぶんね。それぐらいあっという間のことなんだよ。いじめられて自殺するのも、やっぱり俺は違うと思うし。殺すのも違うし、そんなの意味ないし。だったらその間に違うことやってこうよ、って思います。今日、それをより強く思わせてもらいました」……この日のライブの手応えを、野田がそんな切実な言葉とともに伝えていたのが印象的だった。RADWIMPSだからこそ描き出せた、ロック・アクトのひとつの到達点というべき風景が、ここには確かに広がっていた。『RADWIMPS GRAND PRIX 2014 実況生中継/パーフェクトドリーマーズ編』は、RADWIMPS初の韓国・台湾・香港・シンガポール公演を経て、7月19・20日の沖縄公演まで続く。ツアー次回公演は5月6日、新潟:朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンターにて!(高橋智樹)
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