BUMP OF CHICKEN WILLPOLIS 2014 FINAL 2本立てスペシャルライヴレポート vol.1

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「僕らのバンドや、僕らが作った音楽が持っている使命が、すげえでかいっていうのが最近わかって。その音楽に、僕たちもすごく助けられてるし。だから、『音楽が鳴りたいように鳴らしてあげたい』っていうことで、一生懸命……だけどね、ついていくのがやっとなんだよね。もう、怖いことばっかだし。一生のうちの勇気の大部分を、たぶんもう今日使い果たしてるんだけど、ビビリだから。だけど……君たちのおかげで、僕らはこんなに幸せです。今日は本当にどうもありがとう!」

アンコールの最後を飾った“DANNY”の直前、藤原基央はひと言ひと言噛み締めるように、東京ドーム満場のオーディエンスに向けてそう語りかけていた。通算7作目&メジャー5作目のオリジナル・アルバムとなる新作『RAY』を引っ提げて、4月から日本各地を回ってきたBUMP OF CHICKENの全国ツアー「WILLPOLIS 2014」のファイナル、東京ドームでのワンマン・ライヴ。“firefly”“虹を待つ人”など『RAY』収録曲はもちろん、“天体観測”“ガラスのブルース”連射で巻き起こった熱気を最新楽曲の配信限定シングル(8/1配信スタート)“You were here”の透徹した美しさと包容力あふれる音像で抱き止めてみせた本編最後の場面も含め、バンプが歩んできた道程をトータル3時間のアクトに結晶させたこの日のステージは同時に、ひたむきに音楽と向き合ってきたロック・バンドが作り得る最大最高の祝祭空間でもあった。そして、それを可能にしていたのはまさに、先の藤原の言葉にもあった「BUMP OF CHICKENの音楽が持つ使命の大きさ」と「音楽が鳴りたいように鳴らしてあげたい」のふたつの命題だった――ということが明確に伝わってくるライヴだった。

初のスタジアム・ライヴ=昨年8月のQVCマリンフィールド公演のレポートでも書いたが、彼らの音楽が僕らを魅了してやまない大きな要素である「蒼さ」は、単に「青春的な音楽」としての若さや衝動感から生まれてくるものではない。むしろ、一切の惰性や妥協を排し、愚かさや弱さも含めどこまでも真摯に人間と生命の真実に向き合おうとするがゆえの「蒼さ」である。それを彼らは誠実に、アーティストとして/ロック・バンドとしての誇りを持って楽曲に焼き込んできた。その音楽は常に、ポップ・ミュージックとしての輝度の陰にブルースなどルーツ・ロックの影響を色濃く滲ませながら、凛とした蒼さと力強さを体現してきた。そして、自身の使命と対峙するヘヴィな自問自答の末に、全身全霊傾けて自らをアップデートすることを決めた。この日のライヴは取りも直さず、「BUMP OF CHICKEN自身だけのためではない、ロック・バンドとしての巨大な使命を背負った集団としてのBUMP OF CHICKENであることを藤原基央/増川弘明/直井由文/升秀夫の4人が完全に引き受けきったこと」の証明であり、その結果として「BUMP OF CHICKENがBUMP OF CHICKENの世界観を微塵も淀ませたり揺らがせたりしないまま、途方もないスケール感を獲得するに至ったこと」を雄弁に物語るものだった。

BUMP OF CHICKEN WILLPOLIS 2014 FINAL 2本立てスペシャルライヴレポート vol.1
なぜ彼らは今、“虹を待つ人”“ray”など『RAY』の楽曲でエレクトロ/EDM系のサウンドを大胆に取り入れて壮大な高揚感を描き出したのか。なぜ5万人分のLED内蔵リストバンド「ザイロバンド」がきらめき、チームラボボールが舞い踊る景色でもって圧巻の一体感を生み出してみせたのか。なぜライヴのオープニング映像に最新RPG1本作れそうなほどのクオリティとシナリオを求めたのか。なぜ“white note”に音ゲー要素を盛り込んだのか。それらはすべて、BUMP OF CHICKENがより積極的に「みんなのもの」になるために不可欠だったからだ。彼らがアップデートし新たな次元へ導こうとしていたのは、彼ら自身の音楽はもちろん、その音楽が鳴り響く場所であり、そこに集まっている僕らひとりひとりだ。『ミュージックステーション』で「カリスマロックバンド」と紹介されていたのとは裏腹に、カリスマ性ではなくひとえにその歌世界とサウンドによってロック・バンドとしての訴求力を発揮してきたバンプにとっては、この日のライヴに凝縮された要素のひとつひとつが、さらなる進歩のための必然そのものだったと言える。

そして“ray”。アルバム『RAY』発売と同日に配信シングルとしてリリースされた同曲で、大きな驚きをもって迎えられていた、初音ミクとのコラボレーション。この日のステージでは、舞台中央に吊り下げられたダイヤモンド型の「360°ホログラム」のセットの中に実際に初音ミクが登場、4人の演奏とリアルタイムでの共演を実現させていた。時に藤原と初音ミクが交互にメロディを辿り、時にユニゾンだったりハモったりしながら「2人」でサビの目映いメロディを歌い上げる……「藤原基央が書いた歌詞とメロディを、藤原基央が歌う」というBUMP OF CHICKENの基本原則を、自ら「他者」の存在を持ち込むことでバンド自身が乗り越え、さらなる進化への可能性を具現化した今回の“ray”。しかし、この日のライヴでの「共演」は、「さあ、これからすごいことをやりますよ」的な誇張やアピールとはまったく無縁に、あくまで自然なライヴの流れの一環として提示されていたのが印象的だった。演出やギミックとしてではなく、「音楽が鳴りたいように」を追求した結果として、バンドは初のコラボレーションの相手に初音ミクを選んだ――というその必然性が、ドームの空間に広がるその高純度なハーモニーと、それに応えて巻き起こる満場のハンドウェーブからも伝わってきた。

「僕たち音楽大好きですけど、やっぱり大好きなことを仕事にしてると、楽しいだけじゃなくて、すごく勇気を出さなきゃいけない時とか、すごい覚悟しなきゃいけない時とか、そういう局面があるわけだよね。僕たちはそのたびにすごくビビってるんですけど」……冒頭に挙げたMCの前に、藤原はそう語っていた。東京ドームが揺れるほどの熱狂の3時間の中、シューゲイズ的なギター・ロック・アンサンブルで雄大な音風景を生んでいた“Smile”のひときわ澄み切った歌が、藤原自身の自問自答を吐露する言葉を聞いた瞬間に蘇ってきて思わず身体が震えたし、「BUMP OF CHICKENのメンバーのひとりひとりは田舎っぺなんですけど、僕らの背負ってる看板はめっちゃカッコいいんだっていうことを、君たちに教えてもらいました。誇りに思います。どうもありがとう!」と万感の想いとともに呼びかけた言葉には、自らの音楽を「みんなのもの」として深く共有されることでその輝きを増すというコミュニケーションの在り方に迷いなく自分たち自身を委ねていることが窺えて、思わず胸が熱くなった。BUMP OF CHICKENだから実現できた、BUMP OF CHICKENにしか実現できなかった東京ドーム公演。《もう消えない 消えないよ/そこから伸びた時間の上を歩くよ/全て越えて会いにいくよ》(“You were here”)……この日を最後にツアー「WILLPOLIS 2014」が終了、8月1日の配信シングル“You were here”リリース以降のリリースやライヴのスケジュールは現段階では発表されていないが、彼らは必ず「その先」の世界を見せてくれるはずだ、という期待感を抱かせるには十分すぎる、至上のライヴだった。(高橋智樹)

■セットリスト

01.Stage of the ground
02.firefly
03.虹を待つ人
04.サザンクロス
05.(please)forgive
06.ゼロ
07.Smile
08.宇宙飛行士への手紙
09.銀河鉄道
10.歩く幽霊
11.ray
12.トーチ
13.white note
14.天体観測
15.ガラスのブルース
16.You were here

(encore)
17.ダイヤモンド
18.メーデー

(encore 2)
19.DANNY
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