SiM@川崎CLUB CITTA’

SiM@川崎CLUB CITTA’ - pic by 半田安政(Showcase)pic by 半田安政(Showcase)
ミニアルバム『i AGAINST i』を9月にリリースしたSiMによるツアー「“i AGAINST i”TOUR 2014」。以降、クリープハイプ/coldrain/サンボマスターなど様々な面々との対バンライヴ21本+ワンマンライヴ5本と、全国のライヴハウスを回りながら12月16日まで続いていくツアーの幕開けを飾ったのは、川崎CLUB CITTA’でのワンマンライヴ=「“i AGAINST i”TOUR 2014 Day.1 - ONE MAN SHOW -」。神奈川県出身であるバンドにとって憧れの場所で繰り広げられたのは、これからのバンドの成長を信じさせてくれるような熱演。「また一回りも二回りも大きくなって帰ってくるけど、俺らは変わらないからついてきてください。よろしくお願いします!」――ライヴ終盤で放たれたMAH(Vo)の言葉がいつになく頼もしく感じられたのだった。さて、以下ではその模様をレポート。ツアーはこれからも続くためセットリストの掲載は割愛するが、少々の曲目&演出表記も含むため、これからの公演に参加予定の人は閲覧に注意していただきたい。

SiM@川崎CLUB CITTA’ - pic by HayachiNpic by HayachiN
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登場するなり挑発的な様子でフロアをグイッと覗きこんでから自らの立ち位置へと向かうSHOW-HATE(G)/SIN(B)/GODRi(Dr)。そしてステージ上に4人が揃い、脳天を直接揺らすような轟音が鳴らされれば、モッシュにダイブにヘドバンに、オーディエンスは思い思いのスタイルで大きく体を動かして会場内には熱気が立ち込める。序盤から凄まじい熱量で始まったライヴは「拳を上げろ、川崎!俺たちが叫んで、お前らの体と体がぶつかりあって、人の上を転がるのは、ケンカしたり憎しみあうためじゃねえだろ!一つになるためだろ!」というMAHのアツい叫び、さらに“Blah Blah Blah”などでの炎が噴出する特効(この日のみのスペシャル演出なのだそう)なども相まって、セットリストが進むにつれてまた数多くの熱狂を生み出していく。ライヴ終盤にMAHが「疲れているの?」と問いかければ、「ウオオオオ!」と雄叫びに近い声があちこちから上がるほどのテンションだ。そんな様子を見て「単純かよ、お前ら」(MAH)と笑いながらフロアを見渡すメンバーたちはとてもいい表情をしていた。

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SHOW-HATEが鳴らすシンセサイザーの音がエキゾチックな色味を加えた“Fallen Idols”など、『i AGAINST i』のレコ発ツアーということもあってこの日はアルバム収録曲も披露された。バンドの原点でもあるレゲエを大事にした曲ばかりが集まったというこのアルバムが週間オリコンチャートで7位になったことへの喜びと感謝をMAHが語る場面もあったが、その原点を前面に出した状態が評価されたこと、そして何よりも、オーディエンスがそれを楽しんでいる姿を直に目にすることはバンドの自身と確信に繋がるのではないだろうか。そして、だからこそSiMは常に夢を抱き続けるのではないだろうか。メンバーのうち3人(MAH/SHOW-HATE/SIN)が神奈川県出身だという彼らにとって川崎CLUB CITTA’は、「チッタでワンマンできるバンドになります」とこれまでのライヴでも宣言してきたほどに憧れていた場所だったらしいが、その夢を叶えた直後(というか叶えている最中)に、この日彼らはふたつの夢を語った。ひとつは、主催イベント「DEAD POP FESTiVAL」を神奈川県の野外フェスとして実施すること。もうひとつは、おじいちゃんやおばあちゃん、外国人でも知っているであろう唯一のライヴハウス――つまり、日本武道館でライヴをすること。両方ともデッカい夢だけど、きっとこのフロアにいる誰もが「そう遠くはない夢」とも思っていたはず。会場を満たす歓声や拍手の音を聞いていたらそんな気がしたのだった。

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「レゲエ×パンク」というバンドのアイデンティティを顧みつつも、電子音を積極的に取り入れるなどのチャレンジ精神満載なアレンジから読み取れる表現の幅の広がり。1曲のなかでも様々な曲調がミックスされていて複雑な作りをしているSiMの楽曲たちを、見事演奏してみせる楽器プレイヤーとしての手腕。さらに、聴き手を気持ちを昂らせるような音楽だけではなく、“Rum”のようなバラードをどこまでもドラマチックに響かせられるようなスケールの大きさ。急速に、しかし着実に成長し続けていくSiMというバンドのすごさをあらゆる角度から感じさせられる場面が何度もあった。「(SiMが)ダサいバンドになったら中指立ててくれ!だけど俺らがカッコいいSiMである限りはどこまでもついてこいよ!」――MAHがそう叫んだ直後、歓声で応えるオーディエンスたち。このツアーを回って、バンドは一段階も二段階も進化して帰ってくるだろう。そして、そうすれば彼らはまた確実に「夢」へと近づくだろう。それを確信し、また、これからもSiMの「夢」の目撃者であり続けたいと思えたライヴだった。(蜂須賀ちなみ)
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