Mrs. GREEN APPLE@渋谷WWW

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溢れんばかりの思いが、歌が、サウンドが、まっすぐと突き抜け続けた2時間。これからの時代と高らかな共鳴を果たしていくだろうバンドの未来を予感させるような、鮮烈なステージだった。弱冠19才のフロントマン・大森元貴(G・Vo)を中心とした5人組、Mrs. GREEN APPLE。ライヴハウスでめきめきと力をつけ、今年7月に3rdアルバム『Variety』でメジャー・デビューを果たした彼らが待望の初ワンマンを行った。その高い注目度を物語るように、この日はSOLD OUTの超満員。鳴り響くSEと満場のハンドクラップに迎えられ、真っ白な衣装で揃えた5人が颯爽とステージに現れた。

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SEを掻き消すようにスタートしたのは“WaLL FloWeR”。瑞々しくシャープなバンドサウンドと、地声とファルセットを自在に行き来する大森の歌声が、あっという間にフロアを巻き込んでいく。コミカルな動きでキーボードを弾き鳴らす藤澤涼架(Key)、大きく振りかぶってドラムを叩くバンドの紅一点・山中綾華(Dr)などメンバー個々のパフォーマンスも冴えわたり、2曲目“我逢人”では早くもシンガロングを誘引。その後のMCで大森は「ゲロが出そうなほどメチャクチャ緊張しています」と言っていたけど、オーディエンスの心を一気に頂点へと持っていくその手腕は、初めてワンマンをするバンドとは思えないほど鮮やかなものだった。

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しかし、ミセスの本領が発揮されたのはここから。膨大な音と言葉がトリッキーに飛び交う曲、宇宙空間をファンタジックに浮遊する曲、カラフルな音がポップに弾ける曲――と、1曲ごとにまったく違う景色を描きながらフロアを翻弄していく。しかも、1曲ごとに届けられる感情の密度がとてつもなく濃い。多彩なアレンジ、フックの効いたメロディのすべてが有機的に結びつき、エモーショナルな躍動感をもって鳴っているのだ。これは、喜怒哀楽が複雑に入り混じる感情と向き合いながら、そのすべてを音に変えてやろうとする彼らのあくなき表現欲求の賜物。センチメンタルな“春愁”を経て、狂おしいほどの爆音が鳴り響いた“ミスカサズ”へ至った流れは特に素晴らしく、拭いきれない孤独を音楽とともに乗り越えていこうとするメッセージが、毅然と貫かれているようだった。

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「学生時代に作った曲」だという“日々の君”をじっくりと聴かせた後は、「1ヶ月前ぐらいに作った」という本邦初公開の新曲“鯨の唄”を披露。大波のようにうねるサウンドとともに大森の熱唱が届けられるこの曲に、メジャーシーンという大海原に乗り出したバンドの覚悟を感じたのは私だけだろうか。その後は若井滉斗(G)と髙野清宗(B)の癒しキャラ全開のトークを挟みつつ(トークがダレてきたところで「さて、後半戦行きますよ!」とふたりを制した綾華がまた痛快だった)、“ナニヲナニヲ”“StaRt”など必殺チューンを連打。あっという間に残り1曲となったところで、大森の長いMCがスタートした。不登校だった中学時代のコンプレックスを払拭するために音楽を始めたこと。多くのファンを獲得し、周りを取り巻く環境が変わっても心の弱さは拭いきれなかったこと。音楽は自分を苦しくさせるけど、だからこそ今後も音楽と向き合っていきたいということ――そんな心情をまっすぐ吐露し、「もっと強くなりたい。強くなります」という宣言から、光に向かって敢然と歩みを進める曲“CONFLICT”で本編を締めくくった。

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アンコールでは、すでにアニメタイアップになることがアナウンスされている新曲“Speaking”を初披露。ハイパーな疾走感と極彩色の彩りを備えた超絶ポップなこの曲は、ミセスの輝かしい未来を照らし出しているようだった。ダブルアンコールでは「これからミセスはもっとパワーアップします!」と言っていた大森。その一縷の迷いも不安もない言葉が、とても頼もしかった。(齋藤美穂)

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●セットリスト

01. WaLL FloWeR
02. 我逢人
03. VIP
04. リスキーゲーム
05. FACTORY
06. HeLLo
07. アンゼンパイ
08. ノニサクウタ
09. 春愁
10. ミスカサズ
11. 日々と君
12. 鯨の唄
13. 道徳と皿
14. 愛情と矛先
15. ナニヲナニヲ
16. StaRt
17. CONFLICT
(encore 1)
18. L.P
19. Speaking
(encore 2)
20. パブリック
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