MAN WITH A MISSION × ゼブラヘッド@さいたまスーパーアリーナ

MAN WITH A MISSION × ゼブラヘッド@さいたまスーパーアリーナ
共作曲含むスプリットシングルのタイトルを冠した、MAN WITH A MISSIONとゼブラヘッドの「Out of Control JAPAN Tour 2015」。10月13日の名古屋DIAMOND HALLを皮切りに、16日、17日のさいたまスーパーアリーナと計3公演で足早に駆け抜けるジョイントツアーだが、情熱と享楽性が完璧に合致した対バンが繰り広げられていた。17日、ファイナルの模様をレポートしたい。

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『Out of Control』のジャケットアートワークを思い出させる、パンチンググローブをはめたオオカミとシマウマの巨大なバルーンが配置されたステージに、先行して立つのはゼブラヘッド。メンバーと一緒にバーテンダーまでが登場するという相変わらずの賑々しい編成で、「コンバンハサイタマーッ!!」とアリ(Vo)が景気の良い挨拶を一発かますと、どこまでもおバカで熱いラップ/パンクミクスチャーの時間が始まる。2曲目“Save Your Breath”では早くもオーディエンスを屈ませて一斉ジャンプを敢行し、ニューアルバム『ウォーク・ザ・プランク』についてアリは「彼女のために1枚、お母さんのために1枚、お婆ちゃんのために1枚買えよ。オッパイのためについでにもう1枚な!」と笑いを誘う。

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『グレイテスト・ヒッツ?』収録の“Devil On My Shoulder”ではMWAMのジャン・ケン・ジョニー(G・Vo・Raps)がハンドマイクのヴォーカルで加わり、ニューアルバムからの“So What”ではレコーディングに参加したDJサンタモニカ(Djs・Sampling)がスクラッチングで魅せるというコラボにも沸いたが、さすが日本のロックファンにも愛され続けるゼブラヘッド、地力でオーディエンスのハートを鷲掴みにしている点が素晴らしい。欲を言えば、新作曲“Running with Wolves”あたりもぜひ披露して欲しかったところだが、MWAMやオーディエンスに丁寧な感謝の言葉を投げかけて、終盤は“Playmate of The Year”や“Anthem”といった必殺曲で締め括ってくれた。

MAN WITH A MISSION × ゼブラヘッド@さいたまスーパーアリーナ
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そして、トーキョー・タナカ(Vo)が香川県に赴き、手打ちの讃岐うどん作りに精を出す(ネギを刻む包丁捌きが鮮やか)というムービーからスタートしたMWAM。初っ端からオーディエンスに魂の奥底からの歌声を要求する“Emotions”が火柱と共に繰り出され、「タッタ3日間ノツアーダッタケド、ドウイウコトカ分カッテルナ? 全部ココニ置イテクッテコトダ!」とジャン・ケンが煽り立てて傾れ込む“Get Off of My Way”の巨大なダンススペクタクルと、熱の伝導率がやたら高い。ジャン・ケンが「ライヴハウスさいたまスーパーアリーナ!」と呼びかけたときには、まさにそう思わせるような熱いムードが会場中を満たした。

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胸を掻き毟るようなメロディの迸りが素晴らしい“Dive”や、「最高ダッタデショ、アノバカナオ兄サンタチネ。本当、バカナンデスヨ」とジョイントツアーの狂騒ぶりを語って秀逸なギター音響で迫る“The Cure”といったふうに、近作シングル収録曲の活躍ぶりが目覚しい。後者では、大ぶりなバンドグルーヴの中でタナカの高らかな歌声も映えていた。おびただしい量のレーザーの中で披露された“database”は、終盤にゼブラヘッドのアリも飛び込んでキレの鋭いラップを注ぎ込むヴァージョンだ。

MAN WITH A MISSION × ゼブラヘッド@さいたまスーパーアリーナ
今回のミッション映像(?)は、カラオケに行ったMWAMと飼育好男ご一行が、サラリーマンに扮したサンタモニカ出演のドラマ仕立て“モラトリアム”カラオケ映像を見つける、という内容。その直後に鳴り響く“Far”のコズミックかつ壮大なイントロは、ミッション映像のコミカルさから急激な温度変化に少々面食らったけれど、結局は楽曲そのものの力でオーディエンスを飲み込んでいった。灼熱の“evils fall”は以前よりも強烈なライヴ感を振りまくナンバーに成長し、10月14日にリリースされたばかりのニューシングル表題曲“Raise your flag”は、ストリングスのシークエンスとバンドの生々しいダイナミズムが渾然一体となって駆け抜けてゆく。

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歴戦のライヴ曲をメドレーで畳み掛ける一幕では、“distance”のときにカミカゼ・ボーイ(B・Cho)が昂るままにプレイを放り出して駆けずり回ってしまう。ゼブラヘッドとの欧州ツアーに向けて意気込みを語るジャン・ケンは、「我々、ステージノ上ニイマスケドネ、皆サント同ジナンデスヨ。タダノ音楽ガ好キナバカヤローナンデス。コレカラモ、音楽ヲヨロシクオ願イシマス」と言葉を残し、“Seven Deadly Sins”の盛大なチャントの如き歌声を巻き起こして本編を締めくくった。

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満場のヤキニクコールに応えると、スクリーンにストイックな歌詞が浮かび上がる“STELLA”と、銀テープが降り注ぐ中での“FLY AGAIN”が届けられる。更には、「ダブルアンコール、アリガトウゴザイマス。ソレハソウデスヨネ、ツアータイトルニナッテル曲、ヤッテマセンカラネ」と語るジャン・ケンである。「シマウマ」と「オオカミ」の文字、そしてハートマーク入りの日の丸を掲げてゼブラヘッドの面々が再登場し、マッティ(Vo・G)が持ち込んだ大きなボトルのシャンパンを両バンドのメンバーで回し飲みしてしまう。そして遂に披露された合体バンドの“Out of Control”は、さすがにサウンドもコーラスも分厚い、迫力のパフォーマンスだ。タナカはステージ下の通路を走り回り、記念撮影で万感のフィナーレを迎える。

MAN WITH A MISSION × ゼブラヘッド@さいたまスーパーアリーナ
大掛かりな演出も用いられていたけれど、アリーナライヴであることを忘れさせる瞬間が、何度もあった。良い曲を書くこと。全身全霊をかけてエンターテインすること。時代を跨いでサヴァイヴするゼブラヘッドがやっているのはそれだったし、邦楽ロックの表通りをひた走りながら世界に羽ばたくMWAMがやっていることもまさにそれだった。このベーシックな興奮を見失わない限り、彼らのロックは時と場所を選ばずに人々を駆り立てるのだろう。(小池宏和)

●セットリスト

・ゼブラヘッド
01. Hell Yeah!
02. Save Your Breath
03. Call Your Friends
04. Worse Than This
05. Devil On My Shoulder
06. Mental Health
07. Blue Light Special
08. So What
09. Lockjaw
10. Playmate of The Year
11. Anthem

・MAN WITH A MISSON
01. Emotions
02. Take What U Want
03. Get Off of My Way
04. Dive
05. TAKE ME HOME
06. The Cure
07. database feat. Ali(Zebrahead)
08. Far
09. evils fall
10. Raise your flag
11. MEDLEY (DON'T LOSE YOURSELF~distance~DANCE EVERYBODY)
12. Seven Deadly Sins
(encore 1)
13. STELLA
14. FLY AGAIN
(encore 2)
15. Out of Control (MAN WITH A MISSION×Zebrahead)
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