赤い公園@恵比寿LIQUIDROOM

赤い公園@恵比寿LIQUIDROOM
「赤い公園とちゃんと対バンするのは初めてで。僕は個人的にもともとファンやったんで、めっちゃ嬉しいんですよ、今日。ありがとう!」と呼びかけるLEGO BIG MORL・タナカヒロキ(G)に、「LEGOさんがいいライヴをしてくれたので、私たちも生温いライヴしていられません! 飛ばしていきます!」と赤い公園・佐藤千明(Vo)が熱く応える――1年2ヵ月ぶりの新作音源となるニューシングル『KOIKI』の発売を11月25日に控えた赤い公園の東名阪対バンツアー「http://KOIKI/NAMAIKI/EKOHI-KI.com/」。名古屋:SAKANAMON、大阪:tricotに続いて、ツアーファイナルとなった東京公演ではLEGO BIG MORLとの対バンが実現。お互いに新曲も披露し合う共演から、さらなる進化への欲求が滲む、どこまでもスリリングな一夜だった。

■LEGO BIG MORL

「赤い公園、対バンツアー2015・東京編、ようこそ! LEGO BIG MORLです。よろしく!」というカナタタケヒロ(Vo・G)の呼びかけからLEGO BIG MORLは“バランス”へ突入、冷徹な覚醒感と熱い高揚感が同時に押し寄せるような独自のサウンドスケープでフロアを包み込んでいく。最新シングル曲“Strike a Bell”をはじめ、“Wait?”“Spark in the end”“Hybrid”などアルバム『NEW WORLD』(2014年)の楽曲を軸に据えたアクトで、ハイパーに研ぎ澄まされた最新モードを存分にアピールしてみせた。中でも、「次は新曲なんですけども……鼓動の使える数が決まってしまった世界の話です」というカナタの言葉とともに披露した新曲の、運命に抗う音楽の魔法そのもののようなメロディが、赤い公園ファンが多く詰めかけていたはずのフロアを深く強く魅了していたのが印象的だった。

去年あるフェスの打上げで名刺代わりに音源を交換して以来赤い公園のファンになった、と明かしつつ、「その1ヵ月後に飲みの席で一緒になったら、ちーちゃん(佐藤)が『初めまして、赤い公園のヴォーカルです』……。今日の後半はその悔しさをバネに頑張ります!(笑)」と会場を湧かせていたタナカ。ラストの“RAINBOW”では高純度なアンサンブルと《show me rainbow after the rain》の歌に応えて、フロアにシンガロングの輪が広がる。結成10周年となる2016年は1月からワンマンツアーを回るレゴ、その磨きのかかった「今」のサウンドと意欲をリアルに物語るステージだった。

赤い公園@恵比寿LIQUIDROOM
■赤い公園

そして後攻・赤い公園、津野米咲(G)の奏でる1曲目のピアノフレーズは“交信”。「ロックらしさ」「バンドらしさ」に囚われることなく、自身の音楽探究心を咲き乱れさせることが、何より赤い公園ならではの先鋭的なポップ感を描き出していく――という唯一無二の在り方が、その1音1音の躍動感から伝わってくる。「恵比寿LIQUIDROOM、ツアーで一番熱い夜にしたいんですけども、どうですか? 大丈夫そうですか?」という佐藤のコールから“もんだな〜NINJYA MIX〜”“急げ”、さらにスピッツ“ハチミツ”を極限までスウィートなきらめきで彩ってみせたカヴァーへと流れ込み、“サイダー”“NOW ON AIR”と痛快な開放感に満ちたナンバーを連射、熱いハンドクラップを呼び起こしてみせる。

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「tricotとSAKANAMONは何回かイベントやライヴでご一緒したことはあったんですけど、レゴさんとはこういう企画では今までなくて」とMCで語る佐藤、「……でもさっき、ギターのヒロキさんがいらんこと言って(笑)。ヒロキさん、すごい髪型変わりませんか?」と先ほどのタナカのMCに応えて笑いを巻き起こす。さらに、藤本ひかり(B)が「うちらがよく行ってたのはイオンモールよね?」と、LEGO BIG MORLと「モールつながり」でいきなり話を脱線させて会場を「?」で包み、「じゃあ、今日はLEGO BIG MORL vs イオンモールだね!」(藤本) 「……赤い公園じゃないんだ(笑)」(佐藤)と一同を脱力させる。そんな凸凹なキャラが立ちまくった場面がしかし、赤い公園の鮮烈な音楽世界と矛盾なく存在しているのも面白い。

赤い公園@恵比寿LIQUIDROOM
凛とした壮大な音像を立ち昇らせた“風が知ってる”からの後半では、レゴ曲“雨のタクシー”のカヴァーも披露。“楽しい”の弾むような色彩感から、“絶対的な関係”の100秒のカオスへ雪崩れ込んだ展開の心地好いコントラストに続いては、この日のハイライトとなる新曲“KOIKI”へ。『ROCKIN'ON JAPAN』誌のインタヴューでも津野が「良いメロディを書きたいのと演奏面でのエッジがいっしょくたに1曲になったのは初めてかも」と話していた通り、衝撃的なまでの鋭利さとダイナミズムに満ちたバンドサウンドと、ポップの果てへ全力で手を伸ばすメロディが渾然一体となって、赤い公園史上最大級のスケール感を生み出していた。バンドにとっても大事な1曲になっていくに違いない――という実感が、会場一丸の祝祭感とともに胸に迫ってきた。

赤い公園@恵比寿LIQUIDROOM
“ふやける”のドラマチックな絶唱と激演で凄絶に本編を締め括った後、アンコールでは金髪のアフロのカツラ姿で登場した佐藤が久保田利伸“LA・LA・LA LOVE SONG”カヴァー(『KOIKI』カップリング曲)を意気揚々と歌い上げてみせる。さらに、「3rdアルバムの……、98曲目だっけ?」と言いつつ披露したのは、制作中の3rdアルバムからの未発表の新曲“黄色い花”だった。歌川菜穂(Dr)も前列に進み出ての4人コーラスと、ジャクソン5ばりのソウルグルーヴに満ちた楽曲が、赤い公園の「その先」の楽しさを目映く指し示していた。

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「祝い忘れたけど、今年結成5周年で、来年6周年だね」という藤本の言葉を受けて、「微妙だね、6って(笑)。10年とか祝いたいから……末永くよろしくお願いします」と呼びかける津野に、惜しみない拍手喝采が湧き起こっていた。そして、赤い公園は「COUNTDOWN JAPAN 15/16」初日・12月28日に出演決定!(高橋智樹)

●セットリスト

■LEGO BIG MORL
01.バランス
02.Wait?
03.Spark in the end
04.新曲
05.Strike a Bell
06.Hybrid
07.Ray
08.RAINBOW

■赤い公園
01.交信
02.もんだな〜NINJYA MIX〜
03.急げ
04.ハチミツ (スピッツのカヴァー)
05.サイダー
06.NOW ON AIR
07.風が知ってる
08.雨のタクシー (LEGO BIG MORLのカヴァー)
09.楽しい
10.絶対的な関係
11.KOIKI
12.ふやける
(encore)
13.LA・LA・LA LOVE SONG (久保田利伸のカヴァー)
14.黄色い花 (新曲)

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