ダイナソーJr. @ EXシアター六本木

ダイナソーJr. @ EXシアター六本木 - All pics by Ray OtabeAll pics by Ray Otabe
ダイナソーJr. @ EXシアター六本木
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26日の名古屋公演、30日の大阪公演に挟まれる形での今夜の東京公演。定時ちょうど、客電も落ちない中でステージ上にふらっと3人が現れる。そのあまりの自然さに呆然としていたら、のっそりと楽器を持ったその3人がこれまた滑らかな流れで砂塵混じりの熱風のような轟音を放ち、頭をぶっ叩かれる。長めのイントロの間その熱は高められ続け、最高潮に達したところで、J.マスキスが囁くように歌い始める。あぁ、格好良い。昨年夏のHOSTESS CLUB ALL-NIGHTERおよびリキッドルーム単独公演から半年弱、ダイナソーJr.がトップフォームで帰ってきてくれたことが開始数秒で分かり、嬉しくなってしまう。

ダイナソーJr. @ EXシアター六本木
1曲目の“The Lung”から、2曲目は“Goin Down”。初っ端からフロアを煽るというよりは、じっくりと曲と演奏の良さを伝えるような流れだ。MCもほぼなく淡々と、しかし熱心な演奏が続き、“The Wagon”で最初の沸点を迎えた頃、リリースからずっと考えていた彼らの最新作『ギヴ・ア・グリンプス・オブ・ホワット・ヤー・ノット』がリユニオン後の最良の作品となった理由がやっと理解できた。Jのソングライティングはずっと高次で安定しているし、サウンドプロダクションにも大きな変化はない。何が違ったのか。それは、改めてみると当たり前で阿呆のようだが、3人の演奏の良さである。手数を絞る代わりに1発1発が大きく、残響が少ないプリミティヴなマーフのドラム。太い弦を1本ずつ引きちぎろうとするかの如く激しいストロークでゴリゴリとリズムを刻むルー・バーロウのベース。極めて多彩な音色を繰り出しているのにそれが全て一貫してノイジーなJの極悪ギター。そして、悉く超個性的で、しかもバラバラに好き放題であるにもかかわらず、それらが合わさりこれしかないというフォルムにまとまるバンド・マジック。3ピースの1つの究極の形にこの3人は近づいているのではないかと思えてならなかった。今日の演奏を観ていたら。それが、当然に作品にも映ったのである。

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中盤、最後の転調の際のカオティックに暴れ狂う展開が凄まじかった“Feel The Pain”~暴風が竜巻に変わるかのような特大スケールのグルーヴを巻き起こした“Little Fury Things”の怒涛の流れを契機に、バンドは一気にギアを上げ、そこからは最後まで息つく間もなくアンセムの連打で駆け抜けた。この尻上がりのセットリストの中で白眉だったのは、最新作からの“I Walk For Miles”。アルバム中で最も長尺のこの曲における、正に恐竜が大地を蹂躙しているかのような重く激しい演奏は、グランジの先駆者にして大巨人としての貫禄を示して余りある迫力だった。また、そこから必殺の“Freak Scene”へのシームレスな連なりは、音楽家としての成熟を重ねつつも、結成から30年以上経つこのバンドが根本の部分で何も変わっていないことを表していたように思う。

ダイナソーJr. @ EXシアター六本木
彼らが常に鳴らしてきた、彼ら以外誰も鳴らすことのなかった、「殺気立った怠惰」。それは、日々の中の何かしらの特別を切り取ったものではない。我々の日々そのものなのだ。だから、短いスパンで帰ってきたこのバンドを我々はさも当然のことのように観に来るし、バンドはごくごく普通にステージに登り、降りていくのだろう。本編を終え、またも何の素振りもなく(厳密にはマーフのみ小さくガッツポーズ)ステージを去り、ひょっこりとアンコールに現れた3人を観ながらそんなことを考えていたが、アンコール終わりには薄く微笑んで手を振り、「ありがとう」と一言。この極めて普通であまりに特別なロックンロール・バンドに、我々はまだまだ楽しませてもらえそうだ。(長瀬昇)

ダイナソーJr. @ EXシアター六本木
〈SETLIST〉
01. The Lung
02. Goin Down
03. I Told Everyone
04. Love Is...
05. The Wagon
06. Watch the Corners
07. Tiny
08. Out There
09. Feel the Pain
10. Little Fury Things
11. Knocked Around
12. Start Choppin
13. I Walk for Miles
14. Freak Scene
15. Gargoyle

En1. Just Like Heaven
En2. Mountain Man
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