1曲目は、2002年発表のミニ・アルバム『DEAD OR ALIVE』からタイトル曲。バイオリズムという話でいけば、バンドが最も苦しんでいた頃の楽曲である。ここからライブが始まるというのは、長年追いかけてきたファンにはたまらないだろう。そこから“今はここが真ん中さ!”“悲しみの果て”“さよならパーティー”と、代表曲を織り交ぜながら最新作『STARTING OVER』の楽曲が披露されていくのだけど、新作の曲の演奏が素晴らしい。ドラム、ベース、ギター、そして歌がしっかりとひとつの塊となっていて、このアルバムを経て一段とエレカシがバンドになったのを感じさせられる。“こうして部屋で寝転んでるとまるで死ぬのを待ってるみたい”では歌詞の中に「ストーンズ」という言葉が出てくるが、まさにローリング・ストーンズを連想してしまう。“リッスントゥザミュージック”“starting over”、アルバムのプロデュースも行なった蔦谷好位置が今回もキーボーディストとして参加したが、ストーンズの例にならって言うなら、彼はさしずめニッキー・ホプキンスのような活躍を見せる。
終盤で演奏された“風”(名曲!)では、バンドが空中分解しかけるような一面もあったが、それも含めてエレカシのドキュメントである。“ガストロンジャー”では宮本のボーカルはほとんど即興になっている。本編の最後は“俺たちの明日”、アンコールでも“まぬけなJohnny”が演奏された。最新作『STARTING OVER』の曲はほとんど演奏されたことになる。力強い2008年のエレカシの姿がそこにはあった。(古川琢也)