サカナクション/幕張メッセ国際展示場ホール9-11

サカナクション/幕張メッセ国際展示場ホール9-11 - All photo by 石阪大輔(Hatos)All photo by 石阪大輔(Hatos)
「今回のスピーカーシステムには、普通のイベントの3倍から4倍の経費がかかっていまして。ありがたいお話で、幕張メッセ2Days・大阪城ホール2Daysがソールドアウトしましたが、なんと赤字だっていう……あり得なくない? なので、グッズを買っていただかないと、サカナクションは『解散』ではなく『破産』になってしまう!(笑)」

2万4千人の観客を拍手喝采と笑いに包んだ山口一郎(Vo・G)のアンコールの発言は決して誇張でも何でもなく、巨大な会場は計242本のスピーカーと511本のLED BARにぐるりと取り囲まれ、映像効果やレーザー光線も駆使した音と光のスペクタクルが、オーディエンス一丸のシンガロングと響き合う――ポップの神殿とでも呼ぶべき壮麗な空間が、そこには確かに広がっていた。

2007年のメジャーデビューから今年で10周年を迎えたサカナクションが、4月〜7月の全国ホールツアー「SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY」のファイナルシリーズとして幕張メッセ&大阪城ホールを舞台に開催中の「SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY Arena Session 6.1ch Sound Around」。その名の通り、アリーナ会場に6.1chサラウンドシステムを導入した圧巻の音楽エンターテインメントである。
6.1chサラウンドライブは2013年にも同じく幕張メッセ&大阪城ホールで実施していたサカナクションだが、幕張2日目となるこの日のライブからよりいっそう色濃く滲んでいたのは、サカナクションという表現そのものをスタッフも含めた「チーム・サカナクション」トータルで血肉化した強さと、音楽をもっとハイパーで新しく楽しい表現へとアップデートしていこうとする不屈の冒険心だ。
サカナクション/幕張メッセ国際展示場ホール9-11
ツアー開催中のため、セットリストの掲載は大阪公演終了後とさせていただくが、“Aoi”のようなコーラスパートを導入した楽曲では、会場前方のステージからだけでなく左右や後方からも荘厳なコーラスが飛び出したかと思えば、“シーラカンスと僕”では舞台を覆うアイリス幕に投影されたオイルアート&四方から鳴り渡る水音が、幕張メッセ丸ごと深海の静寂へと導き……といった具合に、ただでさえ底知れぬ奥行きを備えた山口一郎/岩寺基晴(G)/草刈愛美(B)/岡崎英美(Key)/江島啓一(Dr)のアンサンブルが、6.1chサラウンドの効果と真っ向から共鳴し合って、「ロックバンドのライブ」の概念を遥かに超越した艶かしい表現世界を立ち昇らせていく。

そんな豊潤な音像とは裏腹に、「みんな、踊る準備はできているか?」、「一緒に踊れる?」とあたかもEDM系のDJのように直球なエモーションをぶつけてくる山口の佇まいが、2万4千人のオーディエンスの多幸感のど真ん中を撃ち抜いて、広大なフロア見渡す限りの祝祭空間を生み出してみせる。
“ミュージック”で見せたクラブスタイル→バンド編成へのチェンジや、“『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』”で舞台両袖のダンサーが繰り広げた「山口人形ダンス」といった、これまでのサカナクションの歴史を彩ってきた大技の数々も、楽曲と一体化したポップアートとして華麗に咲き誇っていった。

そんな中で披露された“サンプル”では、「Team Sakanaction Sample」のテロップとともに、このライブを構成しているキーパーソンたちがクレジットとともに映し出され、大きな歓声をもって受け止められていたのが印象的だった。
「僕たち私たちサカナクションは、今年で10周年を迎えさせていただきます。どんなことでも、10年やってるといろんなことがあります。そんな中でも、チーム・サカナクションのスタッフのみんな、そして応援してくださっているみなさんのおかげで、ここまで来れました。10年からの新しい1年、また頑張っていきますんで」――そんな山口の虚飾なき言葉に、ひときわ熱い歓声が巻き起こっていた。
サカナクション/幕張メッセ国際展示場ホール9-11
「楽しんでいただけましたか? 後ろも、音ヤバかったでしょ?」と言いつつ、サラウンド音響を確認するために会場後方/右/左と個別の方向から音を出してみせたり、「どうもー」という山口の声がメッセの周りをぐるぐる回るような効果を生み出してみせる。「こっちからはまったくサラウンド感がわかんない。君たちズルいな!(笑)」と舞台上から呼びかける山口に、会場がどっと沸く。

この日のライブでは久々の新曲も披露、ソリッドなビートとオリエンタルなポップ感でフロアを揺らしていたサカナクション。「5年ぐらいもうアルバムを出してないんですが、そろそろアルバムの目処が立ちました。来年春! 初春! シングルを挟むかもしれませんが、リリースすることになりました!」とバンドの「その先」への展望を山口が告げると、2万4千人の歓声はなおも高まっていく。
来るべき次作を「めちゃめちゃ暗いアルバムになると思います」と明かし、「サラウンドライブもレギュラーイベントとしてやっていきたい」と宣言していた山口は、満場のオーディエンスへまっすぐに語りかけた。

「みなさんと同じ時代に生まれたサカナクションを、これからもよろしくお願いいたします」

音楽の在り方が激変してきたこの10年間、ひたむきに自らの音楽を探求することで道を切り開き、あまりにも目映い「今」の音楽越しに「その先」のビジョンを提示し続けるサカナクション。終始躍動感あふれるステージから、5人の揺るぎない足取りと確かな覚醒感が伝わってくる、至上の一夜だった。(高橋智樹)

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【速報】サカナクション、6.1chサラウンド音響と壮大な探究心で2万4千人を抱き締めた夜
すごい。音楽はここまでハイパーな覚醒感を体現することができる――という証明そのもののような空間だった。 メジャーデビュー10周年記念ツアーのファイナルを飾る幕張メッセ&大阪城ホール各2Days公演では、「SAKANAQUARIUM 2017 10th ANNIVERSARY Arena …
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