SOIL & "PIMP" SESSIONS/マイナビBLITZ赤坂 special guest:野田洋次郎(RADWIMPS)

SOIL & "PIMP" SESSIONS/マイナビBLITZ赤坂 special guest:野田洋次郎(RADWIMPS) - All photo by 後藤倫人All photo by 後藤倫人
常にとんでもない進化の真っ最中。今のSOIL & "PIMP" SESSIONSは、デスジャズもブラックもメロウも全部引っくるめて新たな境地を切り開いている。4月のLIQUIDROOM公演以来久々のライブハウスでのワンマン、「晩秋のハリネズミ」と題されたこの日のライブは、最新アルバム『真夜中のハリネズミ Music from and inspired by ハロー張りネズミ』の収録楽曲を中心に進行していく。

SOIL & "PIMP" SESSIONS/マイナビBLITZ赤坂 special guest:野田洋次郎(RADWIMPS)
暗闇の中、サポートの栗原健(Sax/MOUNTAIN MOCHA KILIMANJARO, Jazztronik, CENTRAL etc)を含めた6人が薄い幕の向こうにオンステージ。“Magnetic”が始まった。シルクのようになめらかなサウンドが織り成す幻想的なハーモニー、思考さえ置き去りにするその美しさでオーディエンスを引き込むと、そのまま“ハロー張りネズミのテーマ”の鍵盤リフレインへ。「赤坂ブリッツ、準備はいいか!」と、両腕を誇らしく広げた社長(Agitator)が叫ぶと同時に幕が落ち、照明が点灯。これは痺れる。アーシーかつ生命力溢れるサウンドを仰け反りながら響かせる栗原、渾身の気迫で刹那を切り裂くタブゾンビ(Tp)、髪をゆらゆらなびかせて連符を転がす丈青(Pf)、シンセサイザーで高度な旋律も楽々奏でる社長、そしてグルーヴも姿勢も眉目秀麗な秋田ゴールドマン(B)とみどりん(Dr)のリズム隊。なんてアンサンブルなんだ。

SOIL & "PIMP" SESSIONS/マイナビBLITZ赤坂 special guest:野田洋次郎(RADWIMPS)
2管のユニゾンフレーズが口火を切った“Blow Up”では丈青がショルキーにチェンジ。歪んだ爆音を炸裂させている間、タブゾンビはトランペットでエアギターをしたり駆けるように踊ったり、とにかく楽しそうなはしゃぎぶり。すでに汗だくの社長が拡声器にて不肖の野心を叫ぶ“閃く刃”、魂や生き様そのものといった“SUMMER GODDESS”。彼らの演奏を観ていると、ジャズの本質とは定型の構築にとどまらず、あくまで感情の爆発であり、ぶっ壊す衝動なのだという気にさせられる。

SOIL & "PIMP" SESSIONS/マイナビBLITZ赤坂 special guest:野田洋次郎(RADWIMPS)
「この場所に立てて非常に嬉しいです」と改めて挨拶をする社長。「あ〜」と思わず疲れた素振りを観せ、誰にツッコまれたわけでもないのに「だって俺やること増えたもん!」と漏らす。すると突然丈青が近寄ってマイクを奪い、「社長ね、鍵盤すごいうまくなった」と絶賛。「丈青、俺のペースを崩す気だな(笑)」と社長は必死の照れ隠し。

驚きのレパートリーも披露された狂乱のメドレータイム。特にほとんどヘドバンしながらかき鳴らされた壮絶なベースソロ、さらにハンドクラップやコール&レスポンスによって会場が一体となる光景にはグッときた。一転、“Soilent Remedy”のメロディが癒しの風を運ぶ。その中で、「タン」ではなく「ダン」と鳴るみどりんのスネアが雄大さを象っていた。

SOIL & "PIMP" SESSIONS/マイナビBLITZ赤坂 special guest:野田洋次郎(RADWIMPS)
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ここでお待ちかね、事前アナウンスされていたスペシャルゲストの登場である。“ユメマカセ”のリズムに乗り、身体を左右に揺らしながら、笑顔で姿を現した野田洋次郎。冒頭、一節歌うだけで会場の空気を一変させてしまう。ブラックな匂いも醸しながら、とは言え旧来のソウルともブルーアイドソウルとも現行のR&Bとも違うピッチ感やタイム感、歌とラップの間を行き交う独特のフロウに、終始浮かべるとびきりのスマイル。ちょっとずるいくらいの魅力に、SOILのメンバーもめちゃくちゃ気持ちよさそうだ。曲が終わると『ハロー張りネズミ』の最終回に出演した撮影秘話が語られる。途中、野田が社長の肩を抱くと客席は大盛り上がり。が、社長は「並ばないでもらっていいかな、身体の細さが違いすぎて(笑)」とのこと。しかしタブゾンビから「社長が野田くんみたいなパンツを履いてくるようになった」と明かされる。すかさず「inspiredですか、嬉しい!」と野田。最後は「最高に幸せでした」という言葉を残し、颯爽とステージを後にした。

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メンバー紹介を経て演奏に戻る。ドラムソロコーナーの途中、一心不乱に叩くみどりんの髪を社長が後ろから掻き上げ、さながらスーパーサイヤ人のようになってしまう一幕も。その間にしっかり酸素缶を吸引していたタブゾンビと栗原が主旋律を取る“Fantastic Planet”では、メロディに合わせ割れんばかりの大合唱が実現、続く“Fuller Love”は42.195kmのラスト195mにトップスピードを持ってくるような全身全霊の熱演をぶちかます。いよいよ迎えた締めくくり、ナンバーはもちろん“SATSURIKU ニューウェイブ”。パンキッシュなベースが観客のハートに火を点け、コール&レスポンスで身体中から声を振り絞る。こうやって、SOILのライブにはすべてを置いていけるのだ。

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アンコールで社長はこう語った。「SOIL & "PIMP" SESSIONSは次の作品の制作に取りかかっております。遠くない未来に何かしらおもしろい発表ができると思います。いい曲が生まれてます。どうぞお楽しみに」。12月8日(金)の大阪公演はもちろん、これからの彼らにどれだけの期待を抱いたとしても、きっと軽く超えてくるのだろう。そんな予感さえ抱かせる、本当に最高のライブだった。(秋摩竜太郎)

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終演後ブログ
【速報】SOIL & "PIMP" SESSIONSワンマン、野田洋次郎との初邂逅を目撃した
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