ONE OK ROCK/東京ドーム

ONE OK ROCK/東京ドーム - Photo by 浜野カズシPhoto by 浜野カズシ

●セットリスト
01.Taking Off
02.未完成交響曲
03.キミシダイ列車
04.Cry out
05.The Way Back
06.Bedroom Warfare
07.Clock Strikes
08.One Way Ticket
09.内秘心書
10.Wherever you are
11.Last Dance
12. INST
13.Deeper Deeper
14.I was King
15.Take what you want
16.The Beginning
17.Skyfall
18.Mighty Long Fall
19.Nobody’s Home
(Encore)
En1.Change
En2.完全感覚Dreamer
En3.We are


「お前らが思ってるより、今日はあっという間に終わるからな! だから、悔いのないように、全員で最高の日にしような!」――そんなTaka(Vo)の渾身のシャウトに、東京ドームの大空間を埋め尽くしたオーディエンスの大歓声が巻き起こる。ただひたすらにロックの理想を追い求めてきたバンドだからこそ描き出せる高純度な高揚空間が、そこには確かにあった。

自身初のドームツアーとして、大阪/東京/名古屋/福岡の4大ドームを各2DAYSの日程で回る「ONE OK ROCK 2018 AMBITIONS JAPAN DOME TOUR」。昨年1月にリリースされた最新アルバム『Ambitions』を提げて全国を駆け抜けた一大ツアー「ONE OK ROCK 2017 "Ambitions" JAPAN TOUR」に加えて、北米〜ヨーロッパ〜アジアを中心に世界中をサーキットしてきたONE OK ROCKにとっては最高の「凱旋公演」である。ここではその東京ドーム公演2日目=4月5日の模様をレポートする。

舞台の後方に設置された、アリーナの幅いっぱいに広がる5面の巨大ビジョンが、オーディエンスの期待感をいやが上にも煽り立てる中、スポットライトが“Taking Off”を独唱するTakaの姿を映し出す。割れんばかりの大歓声が吹き荒れる中、Toru(G)/Ryota(B)/Tomoya(Dr)のアンサンブルが鳴り渡り、会場は一気に熱狂の渦へと叩き込まれる。
アルバム『Ambitions』でONE OK ROCKが踏み込んだ最新モードを象徴するハイパーかつミステリアスなナンバーが、満場のドーム一丸のシンガロングを呼び起こし、オーディエンスの腕に輝くLEDリストバンドが明滅しながら、見渡す限りのロック空間を目映く彩っていった。

ONE OK ROCK/東京ドーム - Photo by 浜野カズシPhoto by 浜野カズシ

そのまま“未完成交響曲”、“キミシダイ列車”、“Cry out”……と歴代アンセムを惜しげもなく畳み掛け、むせ返るような熱気をさらに天井知らずに煽り立てていく4人。ビートと連動してステージ一面に火の玉が打ち上がった“The Way Back”。プレイが過熱したToruがRyotaのもとへ駆け寄ってギター×ベースバトル状態に突入した“Bedroom Warfare”。後のMCで「さっきの曲のToru見た? 俺んとこ来て、頭突きして、ウェー!!って(笑)」と明かすRyotaに、ドームが爽快な笑いに包まれる。
「興奮しすぎておかしくなりそうなんやけど。みんな最後まで行けるか!」(Tomoya)、「昨日もヤバかったよ、東京! でも、昨日は昨日、今日は今日でしょ? 昨日を超えるでしょう、今日は!」(Toru)とそれぞれに呼びかける言葉が、観客の衝動をさらに熱く震わせていく。

ONE OK ROCK/東京ドーム - Photo by 浜野カズシPhoto by 浜野カズシ
ONE OK ROCK/東京ドーム - Photo by JulenPhotoPhoto by JulenPhoto

ライブ中盤、2005年のバンド結成から現在に至るまでのメンバーの姿がビジョンに映し出されたところで、4人がアリーナ後方のセンターステージに登場。演奏中のシリアスな空気感から一転、「僕なんかテンション上がりすぎちゃって、ずーっと興奮状態から醒めないんです。それぐらい、このドームツアーでは気持ちが高ぶってて……寝つけてる?」(Taka)、「いや……寝てるなあ(笑)」(Ryota)と飾らないトークを繰り広げるメンバーの姿が、ステージと客席との一体感をよりいっそう強めていく。

ONE OK ROCK/東京ドーム - Photo by JulenPhotoPhoto by JulenPhoto

デビューシングル“内秘心書”のアコースティックバージョン、さらに“Wherever you are”を久々にノーマルバージョンで披露。Takaが弾き語りで“Last Dance”を歌い上げる間に、Toru/Ryota/Tomoyaはメインステージへ移動、今度は3人の激烈インストセッションへ……といった大会場を活かした緻密なライブ運びからも、オーディエンスを1秒たりとも飽きさせないというバンドの意志が窺える。

ONE OK ROCK/東京ドーム - Photo by 浜野カズシPhoto by 浜野カズシ

「さあ、ここから後半戦だ!」(Taka)のコールから“Deeper Deeper”、“I was King”と4人がなおもドームのボルテージを上げていく中、「みなさんが思ってるよりも、ONE OK ROCKってすごく険しい道程を通ってるんじゃないかなと僕は思ってるんです」とTakaがひと言ひと言噛みしめるように語る。
「ONE OK ROCKというバンドは、もうそろそろ『第1章』にピリオドを打って、『第2章』の幕開けを迎えてもいい時期なんじゃないかなって……僕自身はそういうふうに思ってます」
そんなシビアな言葉に、ドーム満員の観客は息を呑んで聞き入っている。

「正直、これだけのツアーができるようなバンドになった時に、『じゃあ、この後に何があるんだろう? 何が残ってるんだろう?』って考えてしまう時もあって。でも、ロックバンドは挑戦するのか止めるのかの二択しかない。今までも十分わがままやってきたけど、これからも挑戦し続けて、今という時間をしっかりと生きて、最後この声が嗄れるまで、この体が疲れきるまで、しっかりと自分たちのバンド人生を全うしたいと思ってます」――そんな決意の言葉に続けて響かせた“Take what you want”で、高々とマイクを掲げるTakaに応えて一面のシンガロングが噴き上がり、Takaが思わず感極まったような表情を見せたのが印象的だった。

“The Beginning”に続いて「バンドを始めて13年、数々の仲間や、数々の同志たちに僕たちは出会ってきました。この東京ドームに、その仲間を降臨させたいと思います!」というTakaの紹介とともに、Masato(coldrain)、MAH(SiM)、Koie(Crossfaith)が舞台に登場。怒濤の4MC状態で轟かせた“Skyfall”が、ドーム丸ごと凄絶なまでの熱狂空間へと叩き込んでみせる。

ONE OK ROCK/東京ドーム - Photo by JulenPhotoPhoto by JulenPhoto

「まだ僕らが理想としてるドームツアーじゃないかもしれない。ひょっとしたらドームじゃない方がよかったかもしれません」――本編ラストの“Nobody’s Home”の前、Takaはそんな赤裸々な想いを口にしていた。2016年には静岡・渚園に2日間で11万人を動員、オールスタンディングの灼熱のライブを実現した「ONE OK ROCK 2016 SPECIAL LIVE IN NAGISAEN」も言わば、ONE OK ROCKの揺るぎないロックの理想の結晶だった。その闘いの舞台を都市のドーム空間、座席スタイルの会場での大規模ライブへと移し、僕らの日常へ/この時代へより深く力強く踏み込んでいく――このドームツアーはまさに、そんな彼らの渾身のトライアルの場でもあった。「まだまだ勢いでしか押せないロックバンドかもしれませんが、僕たちはこの勢いを失わずに、ずっとこれからも、走り続けていきます」。そんなTakaの宣誓に、ひときわ熱い拍手喝采が広がった。

ONE OK ROCK/東京ドーム - Photo by 浜野カズシPhoto by 浜野カズシ

“Nobody’s Home”で本編を締め括った後、アンコールでは最新楽曲“Change”を披露。研ぎ澄まされたハイブリッドな音像が、4人の肉体性によって雄大な躍動感を得て、彼らが挑み続ける「ロックを超えたロック」の可能性をダイレクトに伝えていた。
そのままキラーナンバー“完全感覚Dreamer”へ流れ込んでドーム激震!「必ずアルバム作ってツアーします! 今日はもう、僕から言うことは何もありませんが、とにかく次の曲、精一杯の力を振り絞って歌って帰りたいと思います」というTakaの言葉に導かれてのラストナンバーは“We are”だった。《自分を誤魔化し 生きることに意味はあるか》という辛辣なメッセージが、雄叫びにも似た満場のシンガロングとともに響き渡る。ONE OK ROCKとオーディエンスとの真摯なコミュニケーションと信頼関係を、壮大なロックの風景越しに証明するような、圧巻の名場面だった。(高橋智樹)

ONE OK ROCK/東京ドーム - Photo by 橋本塁 [SOUND SHOOTER]Photo by 橋本塁 [SOUND SHOOTER]
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