sumika/Zepp Tokyo

sumika/Zepp Tokyo - All photo by 後藤壮太郎All photo by 後藤壮太郎

●セットリスト
1.ファンファーレ
2.ソーダ
3.1.2.3..4.5.6
4.KOKYU
5.ふっかつのじゅもん
6.チェスターコパーポット
7.フィクション
8.MY NAME IS
9.いいのに
10.sara
11.溶けた体温、蕩けた魔法
12.春夏秋冬
13.MAGIC
14.Lovers
15.マイリッチサマーブルース
16.ペルソナ・プロムナード
17.リグレット
18.「伝言歌」

(アンコール)
EN1.Amber
EN2.オレンジ

※セットリストは11月15日Zepp Tokyo公演のもの


このバンドのアンサンブルは、一体どこまで進化していくのだろう。作品がリリースされるたびに楽曲のバリエーションは増し、ライブにおけるセットリストの組み方も意外性と安定感とをダイナミックに掛け合わせて、予想以上の牽引力で観客を魅了する。今回の『ファンファーレ / 春夏秋冬』のリリースツアーも、もちろんそれら新曲がライブをフレッシュに彩るものでありながら、新曲が過去曲をアップデートするブースターにもなっているというか、単純にレパートリーが増えて演奏も巧みになったというだけではなく、説明し難いバンドとしてのエネルギーが充満しているのを感じるのだ。

sumika/Zepp Tokyo

久しぶりのライブハウスツアーということもあって、そのエネルギーの伝わり方はさらに直接的だったのかもしれない。心底楽しいと思える時間だった。仙台から始まったツアーのちょうど真ん中あたり、11月15日のZepp Tokyoでの2日目のライブに足を運んだのだが、ある意味「ホーム感」もあって、いつにも増して客席との距離が近いライブだったと思う。今回も、セットリストはかなり練り上げて組んだのだと思うけれど、“ファンファーレ”での幕開けからして、バンドサウンドの妙がダイレクトに伝わってきた。そして、6曲をほぼ休みなしで畳み掛ける展開は圧巻。片岡健太(Vo・G)が「いける? 東京」と叫べば、“ソーダ”のサビでは早くも特大のシンガロング。“1.2.3..4.5.6”でのハンドクラップも、“KOKYU”での腕振りもオーディエンスはもはや心得たもの。黒田隼之助(G・Cho)と片岡がステージの両サイドでギターを弾きまくる“チェスターコパーポット”も凄まじいグルーヴを生んだ。

sumika/Zepp Tokyo

「今日、調子いいよね俺たち」と片岡が言っていた通り、歌声がとてもよく響く。「このツアーで歌いたいなと思って4年ぶりに持ってきた曲を」と“MY NAME IS”を演奏したのもよかった。荒井智之(Dr・Cho)の有機的なリズムとサポートメンバーの井嶋啓介(B)が奏でるベースラインが素晴らしいグルーヴを生む。さらに“グライダースライダー”か“sara”か、どちらを演奏するかを客席の拍手の大きさで決めるという趣向も面白かった。がしかし、どちらの拍手も大きすぎて(というか、みんな両方聴きたいから両方拍手するし)、結局決めきれずステージ上で急遽審議に入るという展開に(結局この日は“sara”が披露された)。そのあとに続く“溶けた体温、蕩けた魔法”では、小川貴之(Key・Cho)のピアノの音とコーラスでのハーモニーに聴き入ってしまった。そして“春夏秋冬”へと続く流れ。この「しっかり聴かせる」パートが素晴らしかった。

sumika/Zepp Tokyo

そして後半も前半に負けず劣らずのアッパーな展開が用意されていた。“MAGIC”からの“Lovers”、そして“マイリッチサマーブルース”で季節が再び夏に戻されると、間髪入れずに“ペルソナ・プロムナード”。これは反則技と言いたくなるほど最強の流れではないか。つくづく彼らの楽曲はすべてが代表曲と呼べるレベルのものばかりであり、どこをどう切り取っても捨て曲だとか流し曲なんてものは存在しないのだと改めて気付かされる。特に今回の“ペルソナ・プロムナード”のドライブ感は圧倒的だった。めまぐるしく展開&転調を繰り返す、ライブでの再現の難易度は超高めでハードなこの楽曲が、スタジオ音源よりさらに大きなうねりでリスナー全員をさらっていくのだ。こんな激しくヘヴィでアグレッシブなロックンロールもまたsumikaのサウンドなのだ。否、ここまでエッジの効いた細部まで完璧に鳴らしきるロックは、今sumikaにしかできないと言ってしまいたいほどオリジナルで完璧。

sumika/Zepp Tokyo

そして本編ラストは「18歳の頃から歌ってきた曲。ラスト、ステージもフロアも関係ない。力貸してくれますか?」と片岡が告げると、楽曲は言わずもがなの“「伝言歌」”。その双方の伝わり具合たるや、である。ステージからフロアへはもちろん、フロアからステージへの思いも《伝えたい》という5文字のシンガロングにぎゅっと凝縮されて、まっすぐに届いているのがわかる。「伝わっている」という確信は、人をこれほど幸福な気持ちにさせるのか。何度もライブで聴いた楽曲たち、久しぶりに演奏される楽曲たち、それこそ18歳の頃から何千回と歌い続けてきた楽曲も、観るたびにそこに「現在」の彼らの熱さが表出する。感動的だった。

sumika/Zepp Tokyo

sumikaの2018年は大躍進の1年だったと思う。その躍進の予感は昨年7月に1stフルアルバム『Familia』がリリースされた後に、確かなものとして感じられたものだが、それにしてもその後のsumikaはこちらが思う以上の速度で、また、こちらが予想する範囲を軽々と飛び越えて、新たな名曲を生み出してはライブでも著しい成長を見せてくれた。それでいながら彼らのパフォーマンスは、どんなに規模が大きくなってもその親密さを失うことがないのだ。最後、「愛してるぜ!」と言って去っていく片岡のその言葉に、いつもこれっぽっちも嘘を感じないのが凄い。また次回のライブが待ち遠しくなるようなエンディングだった。これからもsumikaの進化をずっと見続けていたいと思った。(杉浦美恵)
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